Epiphoneアコースティックギターの種類と選び方[記事公開日]2026年3月10日
[最終更新日]2026年04月2日

エピフォンのアコースティックギター

エピフォンはギブソン傘下のブランドとしてギブソン製品の廉価版をリリースするかたわらで、エピフォン独自のモデルも多数ラインナップしています。
エピフォンのギターは機能や音だけでなく、大変良い面構えをしています。
そのため有名アーティストが愛用するのは過去の話ばかりでなく、現在でも多くのプロミュージシャンがエピフォンを選んでいます。
今回は、ギブソンの下位ブランド、そして由緒正しい老舗ギターブランド、という二つの側面を持ったエピフォンに注目してみましょう。


  1. エピフォンの歴史
  2. エピフォン・ギターの特徴
  3. エピフォン・アコースティックギターのラインナップ


Epiphone Inspired By Gibson Custom Kazuyoshi Saito J-45 2026

エピフォンの歴史

エピフォンの歴史は古く、その始まりは1873年にまで遡り、2013年に140周年を迎えました。
立ち上げからギブソンとの激しいシェア争い、戦後のピンチ、ライバルだったギブソンとの合併にいたる大まかなことは、姉妹サイト「エレキギター博士」で紹介しています。

関連記事:
Epiphoneギター徹底分析|歴史・特徴・ラインナップ – エレキギター博士

立ち上げ当初のエピフォンはマンドリンとバンジョーを主に生産していましたが、1928年にアコースティックギターのラインナップ「レコーディング・シリーズ」を発表します。
アーチトップの人気が中々でしたが、同じくアーチトップを得意とするギブソンとのシェア争いは避けられないものでした。
そこでエピフォンは、むしろ勝負に出ます。

ギブソンとバチバチに

世界恐慌(1929年)の影響も落ち着いた1931年、エピフォンは「Mastebuilt(マスタービルト)」コレクションとして、Fホールを持つアーチトップを7機種発表します。
このラインナップはギブソンと衝突させるためのものだったことは明らかで、ギブソンも黙ってはいられなくなります。
「1930年代を通し、両者の争いはスパーリングから全面戦争へとエスカレートした」とまで表現されるほど、両者の開発競争は激しく火花を散らしました。
両社の激しい争いは結果的には「切磋琢磨」と表現できるもので、ニューモデルが続々と発表され、多くのアーティストがエピフォンやギブソンのギターを愛用しました。

1970年代にいったん生産が途絶えたMasterbiltコレクションでしたが、近年装いも新たに復活、エピフォンのアコースティックギターラインナップにおける上位機種として返り咲きました。


Crystal Bowersox Performs “A Broken Wing” From Her Album ALIVE
「エピフォン・オリンピック」と「エピフォン・カジノ」によるセッション。とても息の合った演奏ですね。エピフォンは現在このアーチトップをかなり推していますが、トラッドな雰囲気でありながら新鮮な印象も覚えますね。

エピフォン・ギターの特徴

かつてギブソンと正面衝突しただけのことはあって、ギター本体のキャラクターはギブソンに極めて近い方向性を持っています。
その中で、ギブソンにはない、エピフォンの特徴と呼べるものにはどんなことがあるのでしょうか。

ゴージャスな外観、シルエットでわかる形状

Masterbilt DR-400MCE:ヘッド Masterbilt DR-400MCE:ヘッド部分

エピフォンは、サウンドやプレイアビリティだけでなく、高級感の演出においてもギブソンを上回ろうとしました。
ヘッドや指板に配されたインレイ、ボディ外周を覆うバンディングなど、エピフォンのギターを覆う手の込んだ装飾は、価格帯の枠を飛び出した高級感を感じさせてくれます。

ギターのヘッドは、ブランドのアイデンティティを最も雄弁に物語ります。
ギブソンの廉価版を生産する時ですら、エピフォンは自社デザインのヘッド形状を変更しようとしません。
このヘッド形状はシルエットだけでエピフォンだとわかるデザイン性を持っていて、遠くからでもそれとわかります。

レギュラーモデル「DR-100」のヘッド形状

レギュラーモデルのヘッド形状はエレキギターと共通で、「エピフォン・スロープド・ダヴウィング(Epiphone Sloped Dovewing)」と名付けられています。
上機種「Masterbild」コレクションのヘッド形状はフラットトップで「オフセットノッチ・ペグヘッド(offset notch peghead)」、アーチトップで「マスタービルト・センチュリー・ヘッドストック(Masterbuilt Century Headstock)」となっており、1930年代当時の雰囲気を物語るエレガントさを演出しています。

基本に忠実な設計

エピフォンのギターは個性的でありながら、基本的なスタイルはオーソドックスなもので弾きやすく、また他社製品からの持ち替えにも違和感を覚えにくくなっています。

  • スリムテーパー・ネックグリップ
  • ナット幅1.68インチ(約42.7mm)

を基本とするネックは太すぎず、握りやすい寸法になっています。
いくつかの特別なモデル以外は、

  • マホガニーネック
  • スプルーストップ、マホガニーサイド&バック

というウッドマテリアルを基本としており、グレードの高いものには単板が使用されます。
フラットトップのボディ形状においてはラウンド・ショルダーとスクエア・ショルダー(≒ドレッドノート)、そしてスーパージャンボを基調とし、また目的に合わせて選択しやすくなっています。

信頼できる作りとパーツ群

エピフォンは現在、中国の山東省青島市に広大な自社工場を構えています。
ここでは品質管理専門のスタッフによる入念なチェックが行われる体制ができており、製品の品質がしっかり維持されています。

採用されるパーツの品質も高く、現行ラインナップのエレクトロニクスにはFishman社製のピックアップ・プリアンプシステムが採用されています。
Fishmanはアコースティック楽器用ピックアップの最高峰ブランドのひとつで、ライブ・レコーディングを問わず信頼できるサウンドを提供します。
ペグにはGrover社製やエピフォン・オリジナルのものが採用され、高いギア比と精度を誇ります

関連記事:
Fishman Fluenceピックアップの特徴と革新性 – エレキギター博士

うれしい低価格

エピフォンの生産体制は徹底して合理化されており、他ブランドの同等スペック品と比べて求めやすい価格を実現しています。
現行の「Inspired by Gibson」Acousticコレクションは全単板・Fishmanエレクトロニクス搭載でありながら、プロ品質のアコースティックギターとしては驚くほど手が届きやすい価格帯に収まっています。
上位機種の「Masterbilt」コレクションはエピフォン独自の60年代クラシックモデルを復刻したラインナップで、総単板・Fishman Presys VT搭載の本格仕様でありながら、ハイエンド・アコースティックギターの相場と比べて求めやすい水準に留まっています。


Dave Rawlings Machine – Ruby (Live on KEXP)
デヴィッド・ローリングス氏は、1935年製エピフォン・オリンピックの愛用者として知られています。この動画でも使用しているはずですが、大変もどかしいことに、氏が使用するギターのヘッドに決してピントが合いません。手前の女性が演奏するギブソンのヘッドロゴが何度もバッチリ映っているあたり、大人の事情を感じますね。

エピフォン・アコースティックギターのラインナップ

エピフォンのアコースティックギターは現在、大きく2つのコレクションで展開されています。

コレクション Masterbilt Inspired by Gibson Acoustic
位置づけ エピフォンが1930年代から誇る上位機種ライン。
60年代の希少モデルを復刻した個性豊かな3機種。
全単板構成。
ギブソンの名機をエピフォン仕様で再解釈したスタンダードライン。
Hummingbird・J-45・L-00の3モデル展開。
トップ材 ソリッド・シトカスプルース ソリッド・スプルース
バック&サイド材 モデルにより異なる(単板) ソリッド・マホガニー
エレクトロニクス Fishman Presys VT Fishman Presys VT
ボーン・ナット&サドル あり あり

表:エピフォン・アコースティックギター コレクション比較

上位機種「Masterbilt」コレクション

「Masterbilt(マスタービルト)」コレクションは、1931年からスタートしたエピフォンが誇る上位機種のラインナップです。
現行のMasterbiltコレクションは、エピフォンが1960年代に生産した希少モデルを復刻した3機種で構成されており、いずれも総単板構成・Fishman Presys VT搭載の本格エレアコです。
ラインナップの骨格として、3機種すべてに共通する仕様は以下のとおりです。

  • ソリッド・シトカスプルース・トップ
  • ボーン・ナット&サドル
  • Fishman Presys VT ピックアップ&プリアンプ
モデル名 Masterbilt Excellente Masterbilt Frontier Masterbilt Texan
ボディシェイプ スクエア・ショルダー スクエア・ショルダー ラウンド・ショルダー(AJ)
バック&サイド材 ソリッド・オヴァンコル ソリッド・メイプル ソリッド・マホガニー
指板材 エボニー
ペグ ゴールド・ワッフルバック
インレイ クラウド(パール)
カラー Antique Natural Aged Ice Tea Aged Gloss Antique Natural Aged / Faded Cherry Aged

表:Masterbiltコレクション比較

「Inspired by Gibson」Acousticコレクション

「Inspired by Gibson」Acousticコレクションは、ギブソンの名機Hummingbird・J-45・L-00をエピフォン仕様で再解釈したスタンダードラインです。
2026年にラインナップがリフレッシュされ、全モデルが全単板構成・ローズウッド指板・Fishmanエレクトロニクスへとアップグレードされました。
スタンダードのノンカッタウェイ版と、カッタウェイ付きの「EC(Epiphone Cutaway)」版がセットで展開されています。

モデル名 Hummingbird Standard J-45 Standard L-00 Standard
ボディシェイプ スクエア・ショルダー ラウンド・ショルダー スモールボディ
トップ材 ソリッド・スプルース ソリッド・スプルース ソリッド・スプルース
バック&サイド材 ソリッド・マホガニー ソリッド・マホガニー ソリッド・マホガニー
指板材 ローズウッド ローズウッド ローズウッド
フレット数 20 20 19
指板インレイ スプリット・パラレログラム ドット ドット
ペグ Epiphone Deluxe(ゴールド)
※EC版はGrover Rotomatic
Grover Rotomatic Grover Mini Rotomatic
エレクトロニクス Fishman S-Core + Presys VT(サウンドホール内コントロール)
※EC版はFishman(サイドマウント・ボリューム&EQ)
Fishman Presys VT Fishman S-Core + Presys VT
カッタウェイ版(EC) あり(Cherry Sunburst / Natural) あり(Vintage Sunburst / Honey Burst) なし

表:Inspired by Gibson Acousticコレクション比較