Epiphoneアコースティックギターの種類と選び方[記事公開日]2026年3月10日
[最終更新日]2026年10月5日

エピフォンのアコースティックギター

エピフォンはギブソン傘下のブランドとしてギブソン製品の廉価版をリリースするかたわらで、エピフォン独自のモデルも多数ラインナップしています。
エピフォンのギターは機能や音だけでなく、大変良い面構えをしています。
そのため有名アーティストが愛用するのは過去の話ばかりでなく、現在でも多くのプロミュージシャンがエピフォンを選んでいます。
今回は、ギブソンの下位ブランド、そして由緒正しい老舗ギターブランド、という二つの側面を持ったエピフォンに注目してみましょう。


  1. エピフォンの歴史
  2. エピフォン・ギターの特徴
  3. エピフォン・アコースティックギターのラインナップ

Epiphone Inspired By Gibson Custom Kazuyoshi Saito J-45 2026

エピフォンの歴史

エピフォンの歴史は古く、その始まりは1873年にまで遡り、2013年に140周年を迎えました。
立ち上げからギブソンとの激しいシェア争い、戦後のピンチ、ライバルだったギブソンとの合併にいたる大まかなことは、姉妹サイト「エレキギター博士」で紹介しています。

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立ち上げ当初のエピフォンはマンドリンとバンジョーを主に生産していましたが、1928年にアコースティックギターのラインナップ「レコーディング・シリーズ」を発表します。
アーチトップの人気が中々でしたが、同じくアーチトップを得意とするギブソンとのシェア争いは避けられないものでした。
そこでエピフォンは、むしろ勝負に出ます。

ギブソンとバチバチに

世界恐慌(1929年)の影響も落ち着いた1931年、エピフォンは「Masterbilt(マスタービルト)」コレクションとして、Fホールを持つアーチトップを7機種発表します。
このラインナップはギブソンと衝突させるためのものだったことは明らかで、ギブソンも黙ってはいられなくなります。
「1930年代を通し、両者の争いはスパーリングから全面戦争へとエスカレートした」とまで表現されるほど、両者の開発競争は激しく火花を散らしました。
両社の激しい争いは結果的には「切磋琢磨」と表現できるもので、ニューモデルが続々と発表され、多くのアーティストがエピフォンやギブソンのギターを愛用しました。

1970年代にいったん生産が途絶えたMasterbiltコレクションでしたが、近年装いも新たに復活、エピフォンのアコースティックギターラインナップにおける上位機種として返り咲きました。

Crystal Bowersox Performs “A Broken Wing” From Her Album ALIVE
「エピフォン・オリンピック」と「エピフォン・カジノ」によるセッション。とても息の合った演奏ですね。エピフォンは現在このアーチトップをかなり推していますが、トラッドな雰囲気でありながら新鮮な印象も覚えますね。

エピフォン・ギターの特徴

かつてギブソンと正面衝突しただけのことはあって、ギター本体のキャラクターはギブソンに極めて近い方向性を持っています。
その中で、ギブソンにはない、エピフォンの特徴と呼べるものにはどんなことがあるのでしょうか。

ゴージャスな外観、シルエットでわかる形状

Masterbilt DR-400MCE:ヘッド Masterbilt DR-400MCE:ヘッド部分

エピフォンは、サウンドやプレイアビリティだけでなく、高級感の演出においてもギブソンを上回ろうとしました。
ヘッドや指板に配されたインレイ、ボディ外周を覆うバンディングなど、エピフォンのギターを覆う手の込んだ装飾は、価格帯の枠を飛び出した高級感を感じさせてくれます。

ギターのヘッドは、ブランドのアイデンティティを最も雄弁に物語ります。
ギブソンの廉価版を生産する時ですら、エピフォンは自社デザインのヘッド形状を変更しようとしませんでした。
このヘッド形状はシルエットだけでエピフォンだとわかるデザイン性を持っていて、遠くからでもそれとわかります。

DR-100のヘッド形状 レギュラーモデル「DR-100」のヘッド形状

レギュラーモデルのヘッド形状はエレキギターと共通で、「エピフォン・スロープド・ダヴウィング(Epiphone Sloped Dovewing)」と名付けられています。
上位機種「Masterbilt」コレクションのヘッド形状は、旧世代のフラットトップで「オフセットノッチ・ペグヘッド(offset notch peghead)」、アーチトップで「マスタービルト・センチュリー・ヘッドストック(Masterbilt Century Headstock)」となっており、1930年代当時の雰囲気を物語るエレガントさを演出しています。

基本に忠実な設計

エピフォンのギターは個性的でありながら、基本的なスタイルはオーソドックスなもので弾きやすく、また他社製品からの持ち替えにも違和感を覚えにくくなっています。

  • ラウンデッドC・ネックシェイプ
  • ナット幅1.69インチ(約43.0mm)

を基本とするネックは太すぎず、握りやすい寸法になっています。
いくつかの特別なモデル以外は、

  • マホガニーネック
  • スプルーストップ、マホガニーサイド&バック

というウッドマテリアルを基本としており、グレードの高いものには単板が使用されます。
フラットトップのボディ形状においてはラウンド・ショルダーとスクエア・ショルダー(≒ドレッドノート)、そしてスーパージャンボを基調とし、また目的に合わせて選択しやすくなっています。

信頼できる作りとパーツ群

エピフォンは現在、中国の山東省青島市に広大な自社工場を構えています。
ここでは品質管理専門のスタッフによる入念なチェックが行われる体制ができており、製品の品質がしっかり維持されています。

採用されるパーツの品質も高く、現行ラインナップのエレクトロニクスにはFishman社製やBaggs社製のピックアップ・プリアンプシステムが採用されています。
Fishmanはアコースティック楽器用ピックアップの最高峰ブランドのひとつで、ライブ・レコーディングを問わず信頼できるサウンドを提供します。
ペグにはGrover社製やエピフォン・オリジナルのものが採用され、高いギア比と精度を誇ります。

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うれしい低価格

エピフォンの生産体制は徹底して合理化されており、他ブランドの同等スペック品と比べて求めやすい価格を実現しています。
現行の「Inspired by Gibson」AcousticコレクションのStandard/Standard ECモデルは全単板・Fishmanエレクトロニクス搭載でありながら、プロ品質のアコースティックギターとしては驚くほど手が届きやすい価格帯に収まっています。

Dave Rawlings Machine – Ruby (Live on KEXP)
デヴィッド・ローリングス氏は、1935年製エピフォン・オリンピックの愛用者として知られています。この動画でも使用しているはずですが、大変もどかしいことに、氏が使用するギターのヘッドに決してピントが合いません。手前の女性が演奏するギブソンのヘッドロゴが何度もバッチリ映っているあたり、大人の事情を感じますね。

エピフォン・アコースティックギターのラインナップ

エピフォンのアコースティックギターは現在、「Inspired by Gibson」「Inspired by Gibson Custom」「Modern」「Artist」などのコレクションで展開されています。

「Inspired by Gibson Custom」Acousticコレクション

「Inspired by Gibson Custom」Acousticコレクションは、エピフォンがギブソン・カスタムと共同で、ギブソンの名機を特定の年代の仕様で再現したラインです。
全機種がサーマリー・エイジド(熱処理)加工のソリッド・スプルース・トップとスキャロップドXブレーシング、ボーン製のナット・サドル・ブリッジピン、Baggsのアンダーサドル・ピックアップ&プリアンプ(サウンドホール内コントロール)を備えています。
ヘッドはギブソン型の「オープンブック」シェイプです。

モデル名 ボディシェイプ バック&サイド(単板) 指板 スケール
Pre-War SJ-200 Rosewood Reissue SJ-200 ローズウッド エボニー 25.5インチ
1957 SJ-200 Reissue SJ-200 フィギュアド・メイプル ローズウッド 25.5インチ
1963 Dove Reissue スクエア・ショルダー フィギュアド・メイプル ローズウッド 25.5インチ
Hummingbird Deluxe EC スクエア・ショルダー(カッタウェイ) ローズウッド エボニー 24.75インチ
1960 Hummingbird Reissue スクエア・ショルダー マホガニー ローズウッド 24.75インチ
1942 Banner J-45 Reissue ラウンド・ショルダー マホガニー ローズウッド 24.75インチ

表:Inspired by Gibson Custom Acousticコレクション比較

「Inspired by Gibson」Acousticコレクション

「Inspired by Gibson」Acousticコレクションは、ギブソンの名機Hummingbird・J-45・L-00をエピフォン仕様で再解釈したスタンダードラインです。

モデル名 ボディシェイプ トップ/バック&サイド 指板 エレクトロニクス
Hummingbird Standard
/ Standard EC
スクエア・ショルダー 単板/単板 ローズウッド・20フレット Fishman S-Core+Presys VT
※EC版はFishman S-Core+Presys II
J-45 Standard
/ Standard EC
ラウンド・ショルダー 単板/単板 ローズウッド・20フレット Fishman Presys VT
※EC版はFishman S-Core+Presys II
L-00 Standard スモールボディ 単板/単板 ローズウッド・19フレット Fishman S-Core+Presys VT
Hummingbird Tribute スクエア・ショルダー 合板/合板 ローレル・20フレット なし

表:Inspired by Gibson Acousticコレクション比較

上位機種「Masterbilt」コレクション

「Masterbilt(マスタービルト)」コレクションは、1931年からスタートしたエピフォンが誇る上位機種のラインナップです。
近年のMasterbiltコレクションは、エピフォンが1960年代に生産した希少モデルを復刻した3機種で構成され、いずれも総単板構成・Fishmanエレクトロニクス搭載の本格エレアコです。
このうちExcellente・FrontierとTexan(Faded Cherry Aged)は生産完了となっており、Texan(Antique Natural Aged)も日本の公式サイトには掲載されていません。
3機種すべてに共通する仕様は以下のとおりです。

  • ソリッド・シトカスプルース・トップ
  • ボーン・サドル
  • Fishman ピックアップ&プリアンプ