《旅行や寝室のお供に》サイズで選ぶ「トラベルギター」14選[記事公開日]2021年5月28日
[最終更新日]2022年03月31日

トラベルギター

「トラベルギター」とは、旅行先などに持ち出すためのギターのことです。実際に小型化軽量化などの工夫で、トラベルギターとして開発されたものもありますが、ミニギターがトラベルギターとして扱われることもあります。普段はふつうサイズのギターを使っている人が、お出かけの際に持ち出す小型のギターのことをトラベルギターと呼ぶようです。今回は、この「トラベルギター」について考えていきましょう。


Little Martin Tone Comparison – LX1 vs LXME vs LXK2 vs LX1KE vs LX1E Divide
この分野で圧倒的ともいえる支持を集めるMartin「LX1」。ミニギターは音が軽くなりやすいといいつつも、迫力のある低音がしっかり得られます。

外出用に小さなギターを持つ意義は?

ちょっとややこしいお話ですが、本記事は「トラベルギター」特集であって、「ミニギター」特集ではありません。トラベルギターは単に小さなギターを意味するのではなく、いつもは普通サイズのギターを使っている人が使う、外出用の小型ギターなのです。いつものギターがあるのに、さらに外出用に小型のギターを手に入れる意味はあるのか?ここを考えていこうというわけです。

お出かけ時に「ギターの小ささ」は正義!

YAMAHA JR2 YAMAHA JR2 NT

さっそく核心を突く論点ですが、旅行の荷物は小さくあってほしいですよね。また、ギターが小さくなれば、他の荷物を持っていくことができます。

たとえばMartin(マーチン)で比較すると、代表機種「D-28」は全長約102cm、ミニギター「LX1」は約87cmで、だいたい15%短くなっています。これをもとに体積を単純計算すると、LX1の体積は、だいたい38%小型化しているわけです。

これほどの小型ができたら、自動車で移動にしてもトランクにカバンをもう一個詰められます。出かける際には、ギターの小ささは大きなアドバンテージになるのです。

家にいるときは、書斎や寝室に

ベッドサイドギター

では、外出しないときにはどうするのか?小型のギターはご自宅でも活躍します。小型のギターは、抱えたまま手を伸ばしてPCを操作したり譜面を書いたりといった作業がしやすいことから、書斎に置くのにうってつけです。

「ベッドサイドギター」というワードはまだ普及していませんが、寝室に置くのも良いですね。お布団の上に座って抱えるには、やはり小型のギターはストレスがありません。

では、どんなギターを選べばいいのか?

もちろん気に入ったものを選ぶのがベストですが、そのための着眼点を考えてみましょう。

音量(単板)か強度(合板)か

一般的に、ボディを単板で作ったアコギは軽量で、よく響きます。トラベルギターでも、やはり単板を選ぶべきでしょうか。これについては一考の価値があります。何しろ、出かけた先で何が起こるか分かりません。

キャンプやBBQなどアウトドアに持ち出すのなら、多少ラフに扱っても良い頑丈な合板ボディのほうが、安心できるかもしれません。また、安ければ良いということもありませんが、トラベルギターとして遠慮なく使える程度のグレードが良いでしょう。

ネックは細すぎないか

これは普段ふつうサイズのギターを弾いている人にとって、重要なポイントです。弦長が10%短くなったからと言って、ナット幅が10%も詰まったら、大人の人は弾けなくなっちゃいます。そんなわけで、多くのミニギターが、ふつうサイズからの持ち替えも想定したナット幅に設計されています。42mm~43mmくらいあれば、細すぎて弾きにくいということはなかなか起きません。

レギュラーチューニングで演奏できるか

トラベルギターは、あくまでもいつものギターの代役を務めるギターです。ですから多くの人にとって、いつもと同じチューニングで弾けることが重要です。そのためには最低限これくらい、という弦長が必要です。

23インチ(約58cm)近辺がよく見られる弦長で、普通のギターで言うと2フレットにカポタストを装着した状態に相当します。これをレギュラーチューニングすると、弦張力は普通のギターで言う1音下げと同じになります。

お勧めトラベルギターのラインナップ

では、旅行へ持ち出したり書斎や寝室に置いたりするのにお勧めの、トラベルギターのラインナップを見ていきましょう。「トラベルギターは小さいことに意味がある」という観点から、弦長の短い順に並べています。また、普通のギターにカポタスト(Capo)を装着した場合、だいたいどのポジションに近いかで区切っています。

  • Capo 3:ミニギターの中でも小さめ
  • Capo 2:標準的なミニギター
  • Capo 1:ミニギターの中では大きめ

なお、ここでピックアップする全モデルに、専用ケースが付属します。

だいたい「Capo 3」に相当する弦長

YAMAHA「JR2」シリーズ

弦長540mm/ナット幅43mm

YAMAHA JR2

YAMAHA「JR2」は、同社の主軸モデル「FG」を小型化したミニギターです。この弦長でもレギュラーチューニングでき、しっかり安定します。またこれくらいのサイズだと、小学校低学年からじゅうぶん抱えることができます。自社のジュニア向けギター教室での使用も想定していることから、付属ケースのポケットにはA4サイズがしっかり収まります。

「JR2」はトップにも合板を使ったタフな設計、上位モデル「JR2S」はトップに単板を使用して響きを向上させています。

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だいたい「Capo 2」に相当する弦長

K.YAIRI「Nocturne」

弦長570mm/ナット幅43mm

K.YAIRI Nocturne

K.YAIRI「ノクターン」は、「夜想曲(Nocturne)」という名の通り、外へ持ち出すというよりは寝室で軽くポロンと爪弾くのを想定したギターです。総単板のボディは、リラックスしたタッチでじゅうぶん音量が得られます。低音側に移動させたサウンドホールは、音を前に飛ばすというより弾き手の耳に届けることを狙っています。ゼロフレットの恩恵で、低弦高でありつつピッチが正確です。

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Taylor「Baby Taylor」シリーズ

弦長 57.78mm/ナット幅42.8mm

Baby Taylor

Taylor「ベビー・テイラー」は、3/4サイズのドレッドノートをウォルナットサイド&バック、シトカスプルース単板トップ、ハードロックメイプルネックという構成でまとめたミニギターです。エキゾチックなコパフェラ材をヘッドの付き板にセレクトしており、全体にシンプルな意匠ながら高級感があります。

指板の表側からネジ留めするという斬新な工法に、テイラーの矜持を感じさせます。上位モデルでは、マホガニーやハワイアンコアがボディに使われます。

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Aria「ASA」シリーズ

弦長580mm/ナット幅42mm

Aria ASA

Aria「ASA」シリーズは、パーラーギターのイメージで設計されたスリムなミニギターです。クラシックなスロットヘッド、木材の凹凸が楽しめるオープンポア仕上げ、彫刻を並べたロゼッタといった意匠は、野外にも寝室も持っていける、素朴な温かみを感じさせます。スチール弦仕様の基本モデル「ASA-18」に加え、ナイロン弦仕様の「ASA-18C」があり、こちらのナット幅は46mmです。

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MORRIS「LA-021」

弦長580mm/ナット幅43mm

MORRIS LA-021

MORRIS「LA-021」は、同社のミニギター「LA」シリーズ最上グレードです。スプルース単板をトップに、サイド&バックはフレイム・マホガニーを使用しており、ゴールドパーツもあいまって、手に入れやすい価格ながら高級感があります。ペグボタンにプラスチック製が採用されているのもちょっとしたポイントで、ヘッドが軽量化されたことで重量バランスが良くなっています。

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S.YAIRI「YM-02」シリーズ

弦長580mm/ナット幅43mm

S.YAIRI YM-02

S.YAIRI「YM-02」シリーズは、ミニギターとしてのじゅうぶんな性能を圧倒的なコストパフォーマンスで達成した人気モデルです。低価格ながらトップにはスプルース、サイド&バックにはマホガニーを使用する本格的な木材構成です。カラーバリエーションが豊富で、定番のナチュラルやサンバーストのほか、ブラックやピンクなどソリッドカラーがあるほか、トップにマホガニーを使用したモデルもあります。

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Martin「LX1」

弦長584mm/ナット幅42.8mm

Martin LX1

「リトルマーチン」の愛称で知られるMartin「LX1」は、コンパクトながらマーチン的なサウンドがしっかり出るミニギターです。LX1はリトルマーチンでは上位機種で、ボディトップにシトカスプルース単板が使用されています。それ以外の木部は総じて木材由来の人工素材が使われていますが、そのぶん剛性と形状安定性に優れ、弾きやすくピッチも正確です。

《妥協のない小型ギター》MARTIN「LITTLE MARTIN」&「JUNIOR」

だいたい「Capo 1」に相当する弦長

HEADWAY「HM-115」シリーズ

弦長592mm/ナット幅43mm

HEADWAY HM-115

HEADWAY「HM-115」は、ボディ外周をヘリンボーンで彩るトラッドな雰囲気のドレッドノートを再現したミニギターです。スプルーストップ、サペリサイド&バックの基本モデル「HM-115」のほか、スプルース単板トップにローズウッドサイド&バックの上位機種「HM-115S」、ボディを全面ローズウッドでこしらえた「HM-115R」がリリースされています。

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TAYLOR「GS Mini」シリーズ

弦長596mm /ナット幅42.8mm

TAYLOR GS Mini

今やTaylorミニギターの主軸となっている「GS Mini」は、同社の「グランドシンフォニー(GS)」をダウンサイジングしたミニギターです。トラベルギターの枠を超えた、普通のギターにも比肩する豊かなサウンドと作りの良さが持ち味です。マホガニー単板トップ、サペリサイド&バックの「GS Mini Mahogany」、スプルース単板トップ、ローズウッドサイド&バックの「GS Mini Rosewood」、トップ単板でオールコアボディの「GS Mini-e Koa」がリリースされています。

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K.YAIRI「TEKTEK」

弦長597mm/ナット幅43mm

K.YAIRI TEKTEK

K.YAIRIの「テクテク(TEKTEK)」はその名が暗示するように、外への持ち出しを前提に設計されたトラベルギターです。独特のフォルムとテールピースを使うちょっとしたレトロ感が、特にアウトドアでの演奏にぴったりの素朴さを演出しています。特殊なボディ形状により、ストラップが同梱します。こちらも先述のノクターン同様にゼロフレットが付けられています。

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GUILD「JUMBO JUNIOR」

弦長603mm/ナット幅43mm

GUILD JUMBO JUNIOR

GUILDの「ジャンボ・ジュニア」は大きいのか小さいのか判らない名前ですが、同社の代表的なジャンボボディを小型化したのが名称の由来です。バック面が大きなアーチ状に湾曲するラウンドバック仕様により、コンパクトな本体から豊かで温かみのあるサウンドが得られます。サイド&バックの違いなどにより「マホガニー」、「メイプル」、「RM」の3タイプがリリースされています。

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Martin「Backpacker」

弦長60.9mm/ナット幅42.8mm

Backpacker Steel String

Martin「バックパッカー」は、バックパック1個でどこまでも行く旅人が持っていきそうなミニギターです。イカともホウキとも表現できるスリムなフォルムは、持ち運びに好都合です。それでいてボディは総単板で、軽やかかつ豊かなサウンドが得られます。

イカ?ホウキ?失敬な!究極のトラベルギター「Martin Backpacker」

aNueNue「Bird Guitar」シリーズ

弦長610mm/ナット幅43mm or 44mm

aNueNue Bird Guitar

アヌエヌエ(aNueNue)の「バードギター(Bird Guitar)」は、カッタウェイに頼らずハイポジションへのアクセスを向上させたボディ形状、低音弦側に寄せたサウンドホール、楕円形のブリッジといったたたずまいが、可愛らしくも機能的でもある個性派ギターです。タフなオール合板ボディで気軽に手に取れるエントリーモデル「Newborn Bird M1」からオール単板の高級機「Fly Bird M200」まで、木材構成や仕上げ、またピックアップの有無によってラインナップが細分化されています。

  • Feather Bird M10:シトカスプルース単板トップ、セミグロス仕上げ
  • Bird MC 10:パステルカラーのトップ、小鳥をかたどったピックガード
  • Solid Koa Top M32:ハワイアンコア単板トップ、アカシアサイド&バック
  • Fly Bird M100:シトカスプルース単板トップ、アフリカンマホガニー単板サイド&バック

など、バリエーションはさまざまです。

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普通のギターと同じ弦長:Journey Instruments「トラベルバッグシリーズ」

Journey Instruments

ジャーニー・インストゥルメンツ(Journey Instruments)は、ネックの着脱が20秒でできる特許取得済「Collapsible ネックシステム」、人間工学に基づいて厚みを非対象に設計した「The Wedgeデザイン、のボディ、また特許取得した細胞構造を持つカーボンファイバー製トップ材など、トラベルギターに数々のイノベーションを打ち立てたブランドです。ネックを外して四角い専用バッグに収納できる「トラベルバッグシリーズ」は、演奏時のチューニングそのままでネックを外すことができ、ロック式ペグを採用していることもあって、ネックを取り付けてから軽くチューニングするだけですぐ演奏できます。

着脱を前提としたジョイント機構は強固にできており、そのぶん振動伝達にも優れています。よって、お出かけ用どことか、メイン機として日常的に弾く普通のギターとしても良好です。

OVERHEADシリーズ「OF420 / OF420N / OF420L」

「オーバーヘッド」は、組み立てると弦長24.5インチの00スタイルのギターになり、分解すると長辺60cm以下の直方体に収まる、比較的小型のモデルです。「OF420」シリーズはシトカスプルーストップ、パーフェローサイド&バック、カーボンファイバー製の補強が入ったアフリカンマホガニーネックという構成で、基本モデル「OF420」はナット幅44.5mm、「OF420N」はナット幅42.7mm、「OF420L」はOF420の左仕様です。

OVERHEAD First Class GAシリーズ「FF412C / FF412CN」

「ファーストクラスGA」は、組み立てると弦長25.5インチのグランドオーディトリアム・サイズとなり、分解すると長辺60cm程度の直方体に収まる、普通サイズのモデルです。「FF412」シリーズは、シトカスプルーストップ、アフリカンマホガニーサイド&バック、カーボンファイバー製の補強が入ったアフリカンマホガニーネックという構成で、基本モデル「FF412C」はナット幅44.5mm、「FF412CN」はナット幅42.7mmです。