
LXK2 Little Martin
高級ギターブランドの首位に君臨するマーチンですが、求めやすい価格帯の小型ギターのラインナップも充実しています。
いわゆるミニギターは「子どもが持つもの」や「おもちゃ感覚で扱うもの」と見なされることもありますが、マーチンはこの分野でも妥協のない製品をリリースしています。
マーチンの本格派ミニギターは、ショートスケールで気軽に持ち出せる「Little Martin(リトル・マーチン)」と、フルスケールに迫る24.9インチでステージにも十分耐える「Junior(ジュニア)」の2系統に分かれており、用途や手の大きさで選び分けられるようになっています。
今回はマーチンの本格派ミニギター「リトル・マーチン」と「ジュニア」両シリーズに注目していきましょう。
Martin LX1 Demo – Top 5 Travel Guitars
このサイズゆえの軽やかな響きですが、マーチンらしいどっしりとした低音域もしっかり出ています。
「リトルマーチン・シリーズ」は、かわいらしいルックスと、何より音が良いところがポイントで、子供用やお出かけ用、またちょっとした練習用のギターとしてうってつけです。
普通サイズのギターを部屋に置きたくないという「大人が選ぶギター」としても人気で、マーチンの名に恥じないクオリティがありプロミュージシャンの使用例もあります。
Ed Sheeran – The A Team (Live on the Honda Stage at the iHeartRadio Theater NY)
エド・シーラン氏は、自分にしか書けない深い歌詞とリトルマーチンをトレードマークに、英国の音楽シーンを席巻したシンガーソングライターです。デビューシングル「The A Team〜飛べない天使たち〜」は2011年だけで英国80万枚超のセールスを記録し、後にBPI 6×プラチナ認定を獲得、氏は一気にスーパースターの仲間入りを果たしました。
リトルマーチンは、ドレッドノートと000(トリプルオー)の中間くらいの「Modified 0-14フレット」と呼ばれる独自のボディ形状を採っており、マーチンの発明したXブレーシングが採用されています。
そのため小学校低学年からでも抱えられるような小さなギターから、マーチンのギターとして納得できるトーンが得られます。

リトルマーチンは全モデル共通して、サイド&バックとヘッドの化粧板、モデルによってはトップ材までHPL(ハイプレッシャー・ラミネート。板状の人工物)、また指板とブリッジにリッチライト(FSC認証のリッチライト。人工エボニー)、ナットにホワイトコーリアン、サドルにコンペンセーテッド・ホワイトタスク(人口象牙)というように、人工素材が積極的に採用されます。
ネック材の「Rust Birch Laminate」は、薄くスライスしたバーチ材を張り合わせた積層材で、マーチンの商標名「Stratabond」としても知られています。
これら人工素材は天然素材に比べて安定的に仕入れることができ、個体差なく総じて頑丈です。
音響性能を考えると、頑丈すぎるものは鳴りが渋くなりがちです。
しかしミニギターはレジャー先での使用などで荒っぽく扱われることが想定されますから、頑丈な素材でできているのは大きなメリットなのです。
弦長は23インチで、ふつうサイズのギターで2フレットにカポタストを装着するのとだいたい同じです。
一般に、弦長は短くなればなるほど弦張力が落ちて押さえやすくなるものの、正確な音高を得るにはフレットの打ち方や整え方など、ふつうサイズ以上の加工精度が求められます。
そのためリトルマーチンは妥協のないキッチリとした調整を経て出荷されます。
また、頑丈にできているためその調整を長期間にわたって維持できますから、「子どもの音楽教育」にも役立てることができます。
現在のリトルマーチンは、トップ材や意匠の異なる現行4機種を中心に展開しています。
サイド&バックのHPLパターンとピックアップ搭載の有無で選び分けるのが基本で、これにメーカーコラボの限定機「LX1 Life is Good」が加わる構成です。
| モデル | トップ材 | サイド&バック | ピックアップ | ナット幅 |
|---|---|---|---|---|
| LX1 | シトカスプルース単板 | マホガニー柄HPL | — | 1-11/16″ |
| LX1E | シトカスプルース単板 | マホガニー柄HPL | Fishman Sonitone | 1-11/16″ |
| LX1RE | シトカスプルース単板 | ローズウッド柄HPL | Fishman Presys VT | 1-11/16″ |
| LXK2 | フィギュアドコア柄HPL | フィギュアドコア柄HPL | — | 1-11/16″ |
※スケールは全機種共通で23インチ、ボディシェイプは「Modified 0-14 Fret」。
「ジュニア・シリーズ」は、通常モデルとリトルマーチンのちょうど中間くらいのサイズで仕上げた小型ギターです。
かつての「DJR-10シリーズ」を2025年に全面リフレッシュし、弦長は24.9インチのフルスケールへと拡張されました。
フルサイズのD-28やD-18と同じ弦張り感のまま、ボディ厚やボディ容積だけが抑えられている設計です。
ボディサイズは「Dreadnought Junior(D Jr)」と「000 Junior(000 Jr)」の2種類で、後者にはカッタウェイ付きの「000C Jr」が用意されます。
10万円台のクラスでありながらボディは総単板、ネックは「Performing Artist」プロファイルにハイパフォーマンス・テーパーを組み合わせた弾きやすい仕様、ピックアップはチューナー内蔵の「Martin E1」を全機種に標準搭載と、マーチンの気合いが感じられます。
なお、指板とブリッジにはリッチライト、ナットにはコーリアン、サドルにはホワイトタスク、ヘッドの化粧板にはHPLというように、人工素材も多く採用されています。
Martin DJr 10E Demo
旧10シリーズのデモ動画ですが、サイズ感と鳴り方の傾向は現行Jr Eにもそのまま当てはまります。場所を取らずに本格的なドレッドノート・トーンが得られる、ジュニアならではの魅力が伝わるはずです。
2025年のフルリフレッシュにより、ジュニアは現行9機種の構成へと整理されました。
全機種にMartin E1電装が標準搭載されているため、ピックアップ搭載の有無で迷う必要がなくなり、トップ/サイド&バック材、仕上げ、ボディシェイプの違いで選ぶことになります。
| モデル | ボディシェイプ | トップ材 | サイド&バック材 | 仕上げ | ピックアップ |
|---|---|---|---|---|---|
| D Jr E | Dreadnought Jr | シトカスプルース単板 | サペリ単板 | サテン | Martin E1 |
| 000C Jr E | 000 Jr カッタウェイ | シトカスプルース単板 | サペリ単板 | サテン | Martin E1 |
| D Jr E StreetMaster | Dreadnought Jr | サペリ単板 | サペリ単板 | ダーク・マホガニー・ディストレス | Martin E1 |
| 000C Jr E StreetMaster | 000 Jr カッタウェイ | サペリ単板 | サペリ単板 | ダーク・マホガニー・ディストレス | Martin E1 |
| D Jr E StreetLegend Burst | Dreadnought Jr | シトカスプルース単板 | サペリ単板 | サンバースト+ヴィンテージ風 | Martin E1 |
| 000 Jr E Sapele | 000 Jr 非カッタウェイ | サペリ単板 | サペリ単板 | サテン | Martin E1 |
| D Jr E Walnut | Dreadnought Jr | シトカスプルース単板(Aging Toner) | ブラックウォールナット単板 | サテン | Martin E1 |
| 000C Jr E Walnut Burst | 000 Jr カッタウェイ | シトカスプルース単板 | ブラックウォールナット単板 | ヴィンテージバースト | Martin E1 |
| 000C Jr E Bass | 000 Jr アコースティック・ベース | シトカスプルース単板 | サペリ単板 | ナチュラル/バースト | Martin E1 |
※全モデル共通:スケール24.9″、ナット幅1-3/4″、Performing Artistネック、ベベル加工済み指板エッジ。指板&ブリッジ材はFSC認証リッチライト®を採用しますが、Walnut 2機種(D Jr E Walnut/000C Jr E Walnut Burst)のみエボニーを採用します。
