エレアコとアコギってどう違うの?[記事公開日]2021年2月24日
[最終更新日]2022年03月31日

エレアコとアコギ

「エレアコ」って何?アコギとどう違うの?最初に買うならどっちにすればいいの?

今回は、そんな疑問を考えていきましょう。「どちらでも、好きな方を買えば良い」のが大前提ですが、心に決めたギターがある人も、検討中の人も、もう手に入れているという人も、ぜひ参考にしてください。

「アコギ(Acoustic Guitar)」とは何か?

「アコースティック(acoustic)」とは、「電気を使わない」という意味です。弦のもともとの音はそれほど大きくないのですが、ボディを響かせることで大きな音が出るようにしています。この意味では、鉄弦のギターもナイロン弦のクラシックギターも、電気に頼らない全てのギターがアコースティックギターです。しかしそれでは大変まぎらわしいので、現在では鉄弦のギターを「アコギ」、ナイロン弦のクラシックギターを「クラギ」もしくは「ガット」と区別しています。

ライブでは、本体にマイクを向けることになります。弾き語りやデュオなど小編成のアンサンブルまではできますが、音量の大きなロックバンドでは使用できません。対義語は、「電気を使う」という意味の「エレクトリック(electric)」です。エレキギターが発明されるまではアコギしかありませんでしたから、それまではいちいち「アコースティック」なんて言わず、単に「ギター」と読んでいました。

「エレアコ(Electric-Acoustic Guitar)」とは何か?

「エレアコ」とは、マイクを仕込んで、スピーカーから音を出せるようにしたギターです。もともとアコギですから、ケーブルをつながなければ普通のアコギとしても使うことができます。エレアコはあくまでも「アコギの音をスピーカーから出すギター」であり、まったく異なるサウンドを出すようになった「エレキギター」とは区別されます。

ギターから直接スピーカーに音を送りますから、ロックバンドでも使用できます。またマイクに向けなくて良いので、ステージで弾きながら自由に動くことができます。

なお2021年現在、「エレアコ」はヤマハ株式会社が保有する登録商標です(登録番号5934324及び6007833)。しかしあまりに一般化している言葉なので、勝手に使ったからといって訴訟が起こされた事は無いようです。

アコギとしても使えるんなら、エレアコが最強じゃないの?

そうかもしれません。しかし、お話はそこまでシンプルではありません。ステージに立つ予定がある人にはエレアコがお勧めですが、いまのところそうじゃない人にとってはどうでしょうか。将来的にそんなことが無いとは言えない、という不確定な未来まで想定する必要があるのでしょうか。そんなわけで、こんどはエレアコとアコギの違いがどのように現れるかを見ていきましょう。

電気部品のぶんだけ、エレアコは高額になる

エレアコのピックアップ エレアコにはピックアップが搭載される

最大の注意点は「価格」です。エレアコに使われる電気部品の価格は何千円~何万円まで幅があり、取り付けの人件費も価格に加算されます。同じグレードのギターなら、電気部品がついているぶんだけ、エレアコの方が高いわけです。同じ価格だったらどうでしょうか。電気部品が付いているのに同じ価格なのですから、エレアコの方がギター本体の価格は安いと言えます。もし限られた予算で最も音の良いギターを手に入れようと思ったら、エレアコの方が不利かもしれないわけです。

また、電気部品は後からでも取り付けることができます。はじめはアコギを買っていおいて、後からエレアコへとアップデートできるわけです。取り付けにはふつう、楽器本体への加工が必要となります。しかし加工を必要としないものもありますから、大事なギターに穴を開けなくても大丈夫です。

アコギ用ピックアップの種類と選び方

エレアコの方が、ちょっと弾きやすいかもしれない

一言で「エレアコ」と言っても、

  • アコギにメカを付けたもの
  • 最初からエレアコとして設計されているもの

という二つがあります。アコギは生の音で勝負する楽器ですから、本体で良い音が出るように設計されます。いっぽうエレアコはスピーカーから出る音で勝負しますから、生の音で勝負しなくても良いのです。

最初からエレアコとして設計されているギターの場合、スリムなネックを採用したり、ボディサイズを抑えたりボディ厚を抑えたりといった、「生の音をちょっとくらい犠牲にしてでも弾きやすくする」という設計が選択しやすいのです。

エレアコの方が、ちょっと重いかもしれない

こちらも、最初からエレアコとして設計されているギターの多くで見られる特徴です。ステージで爆音を鳴らすエレアコにとって、最も警戒するべきは「ハウリング対策」です。豊かに響くギターは、ステージ上の大きな音に共鳴してしまい、「ピーーー!」というハウリングを起こしてしまうことがあります。これを予防するために、エレアコの設計では硬い木材を使う、厚い板材を使う、力木(ブレーシング)を太くする、といった工夫でギター本体の響きを抑制することがあります。こうなるとギター本体はやや重くなります。また楽器の響きを抑制するので、生音の音量は抑えられます。

この「硬い木材を使う」というところをヒントに、メイプルなど模様の美しい木材をトップ材に使った見栄えの良いギターを作ることもできる、というのがエレアコのメリットでもあります。アリアやアイバニーズなどからは、アコギでは珍しい木材をトップに採用した、特徴的なエレアコがリリースされています。

小さな注意点は、愛情でカバーすればよい

以上、エレアコとアコギの違いを見てきましたが、どっちもアコギであることに違いはありません。これから始める人は、音の良さも弾きやすさも、自分では分からないかもしれません。分かるようになるのはこれからなのですから、エレアコでもアコギでも、ぜひ見た目の良さで決めちゃってください。メカは後からでも付けられるし、ボディが多少大きかったり、あるいはちょっと重かったり音量が出なかったりしたとしても、自分が「かっこいいギターだ」と思って手に入れたギターなら、愛着がわくというものです。

まずは愛情を注ぐことのできるギターを手に入れて、楽しいギターライフをスタートさせましょう。