アコギ用ピックアップの種類と選び方[記事公開日]2018年12月26日
[最終更新日]2022年04月3日

アコギ用ピックアップ L.R.Baggs / M1 Active

アコースティックギターをライブなどで演奏する際に、マイクで集音するのではなく、エレキギターのように専用のピックアップを付けて出力すると、ハウリングに強く安定した音量を得ることができます。現在ではアコースティックギター用ピックアップも様々なメーカーから多種多様な製品が発売されています。製品のカテゴリごとに特徴を見ていきましょう。

そもそもアコギ用ピックアップとは?

アコースティックギターの音を外部へ出力するために取り付けるものです。アコースティックギターはもともとの音量が微弱なため、直接マイクで集音、増幅しても、ハウリングに悩まされたり、そもそも音が全く聞こえなかったりして、うまくいかないことが多いものです。特に大音量の必要なバンドの演奏などでは必須であり、現在ではステージ上での演奏は、ピックアップを付けてライン出力するのが主流と言えます。

エレアコのサウンドに満足できない人は…?

エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)は最初からピックアップが取り付けられており、外に出力する前提で作られています。ピックアップの付いていない通常のアコースティックでは、外部出力のために後から取り付けなくてはなりません。ピックアップを単体で入手する場合、通常はこの後付けのケースがほとんどですが、手持ちのエレアコの音が気に入らない場合に、あえて付け替えるという選択を行う場合もあります。

アコギ・ピックアップの種類

ピックアップには集音の原理の違いによって、いくつかの種類があります。順番に紹介していきましょう。

ピエゾ・ピックアップ

ピエゾ・ピックアップは、アコギ用ピックアップとしては最もよく見られるものです。ギターの振動を拾い、電気信号に変換。それを音色として出力します。大きく分けて、ブリッジのサドル下に敷いて使用する「アンダーサドルタイプ」と、ボディの内外に貼り付けて使用する「コンタクトタイプ」に分かれます。

アンダーサドルタイプ

ブリッジサドル下に設置するものです。細長の板のようなものをサドルの下に敷き、それで振動を感知します。ハウリングに強く、音色のバランスに優れ、外れたりするトラブルが極めて起きにくいため、広く利用されています。デメリットとしては、サドルと本体の間に一枚薄い膜が入ることによって、原音が若干変わってしまうことと、施工の際に本体に穴開け加工が必要であることが挙げられます。俗に「ピエゾ臭い」と言われるように、エレキギターのクリーントーンのような、不自然な音になりやすいのも特徴です。しかし、音色については、ピエゾ臭さを是正するためのマイクシミュレーターが付属したプリアンプが数多く市販されており、それを利用することで、ほぼ他のピックアップと遜色のない自然な音色を得ることも可能です。

定番モデル「L.R.Baggs / Element Active System」

L.R.Baggs Element

アコースティックギター関係の製品では最も人気の高いL.R.Baggs。Elementはそんな同社の看板ピックアップで、アンダーサドル・ピエゾピックアップではもっとも特徴をそのまま出したような製品となっています。音色は良くも悪しくも「ピエゾ臭い」とされるものですが、やはりハウリングには強く、しっかりと前に出る音は魅力的。通常のものに比べ、ピックアップ部分が薄く、原音を変化させてしまう度合いが少なくて済むのは大きなメリットです。価格は安く、とりあえずのエレアコ化には手軽に導入しやすいモデルとも言えるでしょう。同社のプリアンプやDIとの併用では劇的に良い結果を生むため、トータルで音作りを考える際にはそちらも考慮する価値があります。

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コンタクトタイプ

貼り付けピエゾ

ボディにセンサーマイクを貼り付け、振動を感知するピックアップ。俗に「貼り付けピエゾ」とも呼ばれ、ボディの外側に簡易的に付けるものと、内部に貼り付けてそのままにしておくものと二種類あります。自由に付け外しができるため、ボディのどの部分に仕込むのが一番良い結果になるのか、試行錯誤しなければならないケースもありますが、これもギタリストにとっては一つの楽しみと言えます。

外側に付けるものは、ボディに貼り付けるだけでセットアップが完了するため、継続的にライブ演奏などする機会のない場合にはおすすめ。内部に貼り付けるものは二つ以上のピックアップがセットになっているものも多く、複数のセンサーをそれぞれ別の場所に付けて、二箇所で音を拾うようになっています。

定番モデル「Morris / CP3」

Morris CP3

Morrisのロングセラーを誇るピックアップで、過不足のないシンプルでナチュラルな音が持ち味。内部に貼り付けてエンドピンにジャックをセットするという方法の他、外部に貼り付けてRCAピンでの出力も可能です。シンプルさが好まれてか、ヴィンテージギターなどに付けて使われることが多いモデルで、信頼性の割に価格が安いのも大きな魅力です。

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アンダーサドルタイプに比べると、ハウリングの影響を受けやすく、剥がれ落ちる事故の可能性もないとは言えませんが、高域の歯切れが良く、アコースティックらしい煌びやかな音色は大きな魅力。電池の要らないパッシブタイプが多く、構造が単純なためか安価に手に入りやすいのも特徴。別のピックアップとミックスする役割で補助的に使われることもあります。

マグネティック(マグネット)ピックアップ

エレキギターと同じく、6本のポールピースという磁石で弦の振動を感知し、それを音として出力するもの。サウンドホールに挟むだけという手軽なセットアップで音が出せるため、非常に導入しやすいピックアップです。また、アクティブタイプであっても、ピックアップ部分に一緒にプリアンプがセットになっているものも多く、アンダーサドルピエゾのように電池とプリアンプを収める施工が必ずしも必要ではありません。

サウンドの傾向はアコギとエレキの中間的な独特のものとなりますが、高品質なものであれば生の状態に迫った美しい音色を出せるものも。また、バンドでアコギを入れる場合、それが逆に功を奏し、アンサンブルに溶け込ませやすいというメリットにもなり得ます。エレキギターと同様の原理なため、ハウリングには非常に強く、耐性は最高と言って良いでしょう。

定番モデル「L.R.Baggs / M1 Active」

L.R.Baggs M1 Active

L.R.Baggsのマグネティックでは最も代表的なのがこのモデル。ハウリングには非常に強く、ボタン電池で動くプリアンプが内蔵されているため、特別な加工が必要でないところも好印象です。同社のプリアンプとの併用で、その能力をさらに引き出すことができます。ただ、良くも悪しくも「ピックアップを付けています」といった趣のルックスは好き嫌いが分かれるところでしょう。パッシブ版のM1 Passiveも展開されています。

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マグネット・タイプのデメリットはやはりそのルックス。ピックアップがサウンドホールを塞いでいる見た目は、やはり少し不自然であり、後付けのものに至ってはケーブルもピックアップからそのまま垂れ下がっているため、ルックスはかなり損なわれます。導入のしやすさはトップクラスであり、費用対効果も高いので、以上のデメリットが許容できるのであれば、選択の価値は大いにあります。

コンデンサーマイクタイプ

内部に小さなコンデンサマイクを仕込み、それで音を拾うものもあります。通常のマイク録りとほぼ同じ構造なので、音色の自然さはこの中ではトップクラス。アコギの生の音色を最大限尊重したい場合や、ギターそのものの個性をしっかりと出したいという場合は唯一の選択となります。ただし、音が反響する内部の空間に敏感なマイクを仕込むということで、ハウリングには非常に弱く、セッティングにはかなりの注意を払います。大音量での使用はほぼ不可能で、バンド内での演奏などには全く向きません。弾き語り、ソロギターやギターデュオなど室内楽系の演奏が中心であれば、選択肢としては極めて魅力的。

現在このタイプのピックアップはL.R.BaggsのLyricぐらいしか選択肢がなく、多くはデュアルタイプの片側として補助的に使われます。ちなみに外部にマイクを装着して集音するものもありますが、もはやピックアップという領域ではくくれないため、ここでは除外しています。

L.R.Baggs / Lyric

コンデンサマイクを内部に貼り付けられるようにした唯一のピックアップ。音色の自然さは他の追随を許さず、小音量では最高の結果を得られます。振動などに頼らず、アコギのあらゆる音をそのまま集音するという、他の製品には見られない特色が、ボディヒットを含むソロギター奏者に圧倒的支持を受けました。言うまでもなくハウリングには滅法弱く、小音量専門のモデルになります。

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デュアルタイプ

L.R.Baggs / Anthem

複数のピックアップを取り付けて、それぞれの良いところを合わせて使うような使い方も行われます。上で述べていますが、コンデンサマイクはハウリングに滅法弱いかわりに、音色の自然さが傑出しているため、他のピックアップの短所を補うような目的で補助的に使うと非常に効果的です。コンデンサマイクとアンダーサドルピエゾをミックスして、その度合いをセッティングできるようなピックアップも販売されています。また、自分で装着してステレオで出力し、外部プリアンプやミキサーで混ぜるというやり方も。デメリットとしては、ピックアップが二個分となり、価格が高くなりがちなのと、ギターへの取り付けが面倒というものが挙げられるでしょう。

定番モデル「L.R.Baggs / Anthem」

L.R.Baggs / Anthem

上記の「Lyric」に使われるTru-Micと、アンダーサドルピエゾ「Element」をセットにしてミックスできるようにしたデュアルタイプピックアップ。双方の良い点を掛け合わせ、この上ない音質をストレスなく扱うことができます。
デュアルタイプピックアップの代表的存在であり、これといった短所が見当たらない素晴らしいピックアップですが、価格と取り付け加工にかかる手間もトップクラス。それさえクリアできれば、ライン出力では最高の結果が得られるでしょう。


L.R. Baggs Anthem Acoustic Guitar Pickup

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音質 音量 ハウリング耐性 取り付け加工 その他の特徴
アンダーサドルピエゾ いわゆるピエゾ臭いといわれる不自然な音色 原音が若干変化する、音色はプリアンプでの矯正に適する
コンタクトピエゾ 自然な音色、高域が強くなる 内部貼り付けはやや難、外部貼り付けは簡単 価格が安いものが多い、外れる事故が起きることも
マグネティック アコギとエレキの中間のような音 簡単 見た目が不自然になりやすい
コンデンサーマイク 極めて自然 × やや難 製品数が少ない
デュアルタイプ 組み合わせ、ミックス度合いによる 同左 同左 かなり難しい 価格が高くなりやすい

表:ピックアップタイプ毎の特徴

アクティブとパッシブって何?

以上、アコギ用ピックアップの週類について紹介しましたが、これらのピックアップ(コンデンサーマイク・タイプを除く)はさらに「アクティブ」と「パッシブ」に分類されます。

アクティブはピックアップとともにプリアンプがセットになっているもので、ギターから出力された信号は一定以上の強さをもって伝達されます(ローインピーダンス)。パッシブはピックアップのみのもので、出力される信号は振動を電気信号に変えただけの微弱なものです(ハイインピーダンス)。アクティブは電池が必要ですが、ギターから出た時点である程度の強さを持っているため、外部のノイズなどの影響を受けにくく、安定した信号を供給できますパッシブは電池が要らない代わりに信号が微弱でやや不安定です。長いケーブルなどを使用すると音の劣化は顕著に感じられるはずです。自分のギターに付いているものがどちらか分からない場合は、電池が必要かどうかで判断すると良いでしょう。

通常、ピックアップを後で付ける場合、コンタクトピエゾタイプを除いてはアクティブがほとんどです。ピックアップの他にプリアンプと電池ボックスの場所を確保する必要があり、取り付けの難易度を上げる原因にもなっています。パッシブは手軽ですが、安定した音質を得るためには、パッシブ対応の外部プリアンプを別途導入するのが望ましいでしょう。

定番のアコギ用ピックアップ

上記紹介した定番モデル以外にも、人気の製品を紹介していきます。

アンダーサドルピエゾ

FISHMAN / Matrix Infinity VT

FISHMAN Matrix Infinity VT

L.R.Baggsと人気を二分するFISHMANのアクティブ・ピックアップ。ブライトで広い帯域まで再生できるレスポンスの良さが特徴で、プリアンプに搭載されたブライトスイッチはストローク演奏などの際に絶大な威力を発揮します。後に同社のコンデンサマイクなどをブレンドできるよう端子があらかじめ付いており、拡張性を考慮されているのも魅力的。同社の外部プリアンプをうまく併用すると、コンデンサータイプに迫るほどのリアルな音色を得ることも可能です。

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FISHMAN / AG-125、AG-094

FISHMAN AG-125

こちらはパッシブ・ピエゾピックアップ。ピエゾピックアップのそれらしい音は払拭し切れていないものの、インストなどでギターの音をメインとしないのであれば、十二分に使える音質を持ち、パッシブならではの取り回しのし易さもあって、とりあえず付けておくという用途にはおすすめの製品。上記のMatrix Infinityに比べ、パッシブ版であるため、プリアンプの施工がいらず、価格も安く抑えられていますが、外部プリアンプは用意する方が良い結果が出るでしょう。125と094の違いはサドル幅の違いのみで、製品としての差はありません。

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SHADOW / Sonic Nanoflex

SHADOW Sonic Nanoflex

SHADOWのこのピエゾピックアップは、クリアで明瞭かつパンチの効いた音色が特徴で、数多いピエゾピックアップの中でもかなり「ピエゾ臭さ」が払拭された製品です。それに加えて、弦だけではなく、ボディの振動も一緒に拾う特殊構造になっており、ボディのヒットなどを頻繁に行う際にはしっかりとした音を出すことができます。このカテゴリの中ではやや高価格な製品ではありますが、それを補って余りある音色が魅力です。

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コンタクトピエゾ

L.R.Baggs / iBeam Active Pickup System

L.R.Baggs iBeam Active Pickup System

L.R.Baggsでも最も人気のあるピックアップの一つ。ブリッジ裏に棒状のセンサーを取り付けて、内部の振動を拾います。コンタクトピエゾタイプには珍しいアクティブ仕様で、安定した音量、音質が出力でき、よほどの大音量で鳴らすのでもなければ、十二分に役割を果たしてくれるでしょう。電池ボックスとボリュームつまみを別途内部に取り付けるため、通常のコンタクトピエゾに比べると、やや手間がかかる取り付けですが、それに見合ったクオリティを感じ取れるはずです。

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SHADOW / SH712

SHADOW SH712

センサーが2つついたSHADOWの人気コンタクト型ピックアップ。非常に繊細な音が特徴で、二つのセンサーがあらゆるボディ内部の響きを拾って出力してくれます。複数のセンサーは取り付けに時間がかかり、ベストな場所を見つけるのに多少の労力が掛かるものの、うまくいったときの美しさは格別。この価格でこの音色は驚くべきクオリティと言えます。センサー自体は内部貼り付けですが、付属のジャックはサウンドホールから外部に垂らす仕様。サウンドホールからシールドケーブルが垂れ下がっているのは、ルックス上の難点のみならず演奏の妨げになる可能性もあり、ここが唯一にして大きな欠点。これを改善するため、加工して内部で配線しているギタリストもいます。

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K&K / Pure Mini

K&K Pure Mini

80年代の設立以降、アコースティック楽器のピックアップなどを開発しているK&K。こちらはセンサーが3つ入った内部貼り付け用のモデルで、エンドピンジャックに直接ピックアップ素子からシールドが伸びています。3箇所の優れたセンサーをボディ内部に展開することで、非常に生っぽいナチュラルな音色を得ることができ、大音量を必要としない場合は、メインのピックアップとしても十分使えるクオリティを備えています。価格はこのカテゴリの中ではかなり高価な部類に入りますが、この音色は魅力的です。

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KNA / AP-2

KNA AP-2

木製のピックのような形をしたピックアップで、外部貼り付け用のモデルです。パッシブでありながらボリュームコントロールが付いているのが特徴で、シールドは本体から着脱できるため、付けたままの移動も簡単。このカテゴリの中ではやや高価ではありますが、音質は申し分なく、ギター以外にもウクレレ、マンドリン、パーカッションなど、多数の楽器に使うことができます。ボリュームコントロールのないAP-1も展開。

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DiMarzio / DP130

DiMarzio DP130

エレキギターのピックアップメーカーとして、積年の技術を持つDiMarzioのコンタクトピエゾ。外部貼り付け用で、シールドが直接ピックアップから伸びているタイプです。パテを使用し、取り付け着脱は容易に行え、ボディの振動を最大限活かした集音ができるようになっています。他のコンタクトタイプ同様ハウリングには弱いものの、この値段で得られる音質としては最高のものを持っており、とりあえずの一つ目というのにもオススメできるモデルです。

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Richie Kotzen demos DiMarzio’s The Black Angel Acoustic & Piezo Pickups

マグネティック

FISHMAN / Neo-D Humbucking

FISHMAN Neo-D Humbucking

FISHMANの後付けマグネティック。同社のNeo-Dシリーズはパッシブタイプとなり、この製品もピックアップから直接シールドが出ている単純な設計です。そのために音に癖がなく、素直な音色を出力できるのが持ち味。外部プリアンプはほぼ必須ですが、うまくセッティングすることで自分好みの味付けをすることもできるでしょう。ハムバッキング構造はノイズに強く音が太い設計ですが、繊細な音を出せるシングルコイルタイプも展開されています。

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Dean Markley / Promag Grand

Dean Markley Promag Grand

アコギ用マグネティックピックアップの老舗、Dean Markleyの代表製品。こちらもパッシブの製品であり、電池がいらず、シールドが直接出ている設計です。バランスの良い音が特徴でフィンガーピッキングからストロークまで様々な奏法に過不足無く対応できます。ブランドロゴが大きく入っている見た目は好き嫌い分かれると思われますが、ウッディな質感はアコギの雰囲気を損なわず好印象。ハムバッキングのGrandとシングルコイルのPlusの二種が展開されています。

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SHADOW / Sonic NanoMAG

SHADOW Sonic NanoMAG

マグネティックタイプでありながら、外観をほぼ損なわないという秀逸の特徴を持つSHADOWのアクティブ・ピックアップ。ネックの延長上にセッティングすることで、指板と同化し、付けているのか分からないような自然なルックスを保ちます。内部配線が必要でプリアンプ部分を確保しなければならず、取り付けにはやや困難を伴いますが、ハウリングに非常に強いマグネティックを、ルックスと原音を変化させずに取り付けられるのは大きなメリット。サウンドも、広い帯域に渡って再生能力が高くナチュラルです。ギターの構造如何によっては取り付けに難が出る場合もあるので、そこだけは注意する必要があります。

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EMG / ACS

EMG ACS

エレキギターのピックアップ専門業者として名高いEMGのアコースティックピックアップ。さすがにピックアップ一筋の専門メーカーだけあり、極めてノイズレスで明瞭な音色を得ることができます。音色は数多いマグネティックピックアップの中でも試す価値の高いものですが、サウンドホールに微少な穴を空けねばならないところなど、マグネティックの特徴でもある取り付けの簡便が感じられないところは残念な点。ここが許容できるのであれば、付ける価値はおおいにある製品です。

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Seymour Duncan / SA-3SC Woody single coil

Seymour Duncan SA-3SC

木目の外観が印象的なダンカンのアコースティック用ピックアップ。通常のマグネティックのように、そのままシールドが直結している構造となっており、取り付けは簡便に行えます。音色はややエレキっぽい感覚があるものの、帯域の広さが感じられる無難なものに落ち着いている印象。ハムバッキング構造のものもラインナップされており、音の繊細さとノイズの量を考えて選び分けると良いでしょう。この中ではもっとも安く手に入り、費用対効果は抜群です。

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Woody Acoustic Pickups

デュアルタイプ

FISHMAN / Rare Earth Mic Blend

FISHMAN Rare Earth Mic Blend

ネオジウム磁石が使用されたマグネティックピックアップRare Earthにマイクがセットされたデュアルタイプピックアップ。芯のしっかりしたマグネティックの音色と、空気感とふくよかさを再生するマイクとのブレンドで、極めて生音に近い再生環境が得られます。ブレンド具合もスライダーで簡単に調整でき、あらゆるシチュエーションで使えるピックアップです。欠点はAnthemと同じでやはり値段の高さ。片方がマグネティックということで、取り付けにはそれほどの手間は掛かりません。

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Skysonic / New T-902

Skysonic New T-902

デュアルタイプピックアップやアコースティックギターに設置できるエフェクト用スピーカーなど、ユニークな製品を多くラインナップする中国のSkysonic。このピックアップは大音量向けのデュアルタイプで、マグネティックとマイクがセットになったものです。公式に謳う通り、中高域にピークがあり、音量を上げてもクリアな音質を維持します。煌びやかさはそこまで感じられないものの、ヌケが良く太いサウンドはバンドアンサンブルなどでは特に使いやすいでしょう。マイクは自在に向きを変えることができ、それによってサウンドの表情もコントロールできます。

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IK Multimedia / iRig Acoustic Stage

IK Multimedia iRig Acoustic Stage

こちらはコンデンサマイクではありませんが、同じくマイクを仕込み直接の集音を可能にしたという点で、構造的に似通ったものを持ちます。スマートフォンなどでも使われるMEMSマイクロフォンというマイクをギターピック程度のサイズに収め、それをサウンドホールに引っかけて使うというもの。ウクレレなどにも使用可能。マイクとプリアンプがセットとなっており、プリアンプ側にはアンチフィードバック機能やAUX端子を含み、サウンドの傾向を変えられるなど、ソフトウェア会社ならではの斬新な機能が随所に見られます。コンデンサーほどではありませんが、マイク集音なので音質はかなり優れており、外部コンタクトピエゾに匹敵する手軽さを持っていながら、低価格なのも嬉しいポイントでしょう。

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取り付け加工について

ピックアップを取り付けるのに本体への加工が必要な場合があり、その場合、工具などを用意して自分で行うか、自信がなければクラフトマンに依頼することになります。当然その場合の工賃が少なからずかかるため、ピックアップ導入の際にはその分の費用も予算に組み込んでおく必要があるでしょう。

一般的にアンダーサドルピエゾとそれを含む組み合わせのデュアルタイプが、ブリッジ部への穴開け、プリアンプと電池ボックスの設置が必要で、最も手間が掛かります。逆にマグネティックタイプ、外部貼り付けのコンタクトタイプは最も簡単。また、いかなるピックアップにおいても、エンドピンをジャックに改造する場合、ストラップピンを取り除き、穴を拡張する加工が必要となります。


アコースティックギター用ピックアップは、ソロギターが流行し始めてから急激にその数を増やしてきました。今では無数の製品があり、何を選べば良いのかわかりにくい状態になっています。各ピックアップの種類におけるメリットやデメリットをしっかりと把握して、必要な要素を絞って決めていくと良いでしょう。