アコギ用プリアンプ/エフェクターの選び方・おすすめモデル[記事公開日]2018年11月28日
[最終更新日]2022年03月31日

アコギ用プリアンプ/エフェクター

エレキギター用のデジタルエフェクターが高機能、高音質になるにつれ、アコースティックギターの世界にもそれが波及してきており、今では専用のエフェクターや高品質なエフェクトが付属したプリアンプがずいぶんと増えてきました。アコースティックギター用やアコギ・エレキ兼用などのエフェクターは、エレキよりも広い帯域を持つアコギに最適化されているものが多く、エレキ専用のものを使うより良い結果が出やすいものです。ここではアコースティックギターのライン出力に欠かせないプリアンプやDIからエフェクターまで、フロアタイプの機材を広く紹介します。

アコギ用のエフェクターって、どういう目的で使うの?

アコギに使う外部機器として、真っ先に名前が挙がるのが「プリアンプ」です。プリアンプはピックアップからの微弱な信号を、増幅して整える役割を果たします。しかし、アコギ用プリアンプは、それ以上に音質の変化という部分を期待されているところが多い製品で、ピックアップから直接引き出した音を純粋なアコギらしいナチュラルな音色にするという、アコギ用特有の重要な役割を担います。エレアコの場合、本体にすでにプリアンプが付いていることが普通ですが、それだけではあまり良い結果にはならないため、大体のギタリストは外部にもう一台用意することがほとんどです。

エフェクトはその名の通り音に効果を与えるもので、掛ける理由としては「音量、音質を整える」「音色を綺麗にする」といったものが多数。エフェクトを巧く使うことで、聴きやすく演奏しやすい音に整えたり、その場の空気感を支配することができます。アコースティックギターは生の音色をそのまま増幅するのが基本となるので、エレキでおなじみの歪み系など使うことはまずなく、コーラスなどを掛けるときも深くは掛けないことがほとんどです。

ピックアップを搭載したエレアコで使うのが前提!

上述の通り、電気回路を搭載しないアコギにはエフェクターは使えません。
アコギ用ピックアップの種類と選び方

アコギに有効なエフェクターって?

アコギ用エフェクターの筆頭「プリアンプ」

アコギ用プリアンプの定番、FISHMAN「AURA SPECTRUM DI」
ピックアップからの信号に、スタジオで録音したようなサウンドをミックスすることができる。

アコギの音色をメインに作る頭脳とも言うべき部分がこのプリアンプです。音を増幅し、ミキサーに直接入力できる出力にまでレベルを高めるのが主要な機能ですが、それに加えて、ピックアップからの音をマイク録りしたかのような、空気感のある自然な音色に変化させるための機能が備わっています。各社その部分のブラッシュアップにしのぎを削っており、アコギ用プリアンプを使う最大のメリットもそこにあります。
アコースティックギターをライン出力する際には真っ先に導入したい機器であるため、発売されているモデルも多く、チューナーが付いていたり、エフェクトが複数搭載されていたり、マルチエフェクターのようになっている製品もあります。また、製品によって得意なピックアップが違うということもしばしばあります。

コンプレッサー

コンプレッサーは圧縮の意味。演奏で使うコンプレッサーは、大きい音量の音を圧縮して抑えることで、小さな音と揃えるのが本来の目的です。全体の音量を一定に近い状態で聞かせることができ、安定した聴き心地となります。フィンガーピッキングとストロークの混在した曲や、ストロークやカッティングと単音のソロが同居した曲など、音量バランスが崩れやすいようなケースで使用すると効果的に働きます。プリアンプに機能として付属していることは多く、ライブでは掛けっぱなしにしているギタリストも見られます。

かつてはエレキギター用のMXR DynaCompのような、特有の音を作ることを狙ったものが主流で、上述した本来のコンプレッサーの目的に沿うものはラックタイプのスタジオ機器がメインでしたが、BOSS CP-1Xなど、昨今ではライブで使用できるフットタイプのものも増えてきています。

リバーブ

TC Electronic Arena Reverb Pedal Review

残響を与えるエフェクター。カラオケのエコーを想像してもらうとわかりやすいでしょう。単なる飾りと思われがちな残響成分ですが、クラシック音楽のように演奏される場所の残響が音楽の一部と見なされる場合もあり、単なる残響と片付けられない奥深いエフェクトです。
深めにリバーブを掛けたソロギター演奏で、まるで森の中にいるかのような空間を作り出したり、歌に合わせてギターの残響を整えてやることで、空間的な一体感を作り出したり、音色に様々な表情を与えることができます。こちらもコンプレッサーと同じく、プリアンプに内蔵されていることが多いエフェクトです。

リバーブ・エフェクターについて – エレキギター博士

ディレイ


Strymon DIG Dual Delay w/ Martin Acoustics
アコギにディレイをかけることで、美しいアンビエンスが得られている

ディレイはやまびこを付加するエフェクターで、一度弾いたものが数回返ってくる効果があります。音のサステインが長い歪んだエレキギターだと、必須とも言えるエフェクトですが、アタックの強いアコギでは音像がぼやけやすく合わせるのが難しいため、そこまで多く使われることはありません。やまびこの部分の音色を原音とはかなり違うものにしたり、返ってくるタイムの部分をうまくセッティングしてやることで、リバーブとはまた違う、存在感のある残響が得られます。敢えて同じ音色を一定のリズムに合わせて返すことで、独特のリズミカルな音列を作り出す奏法もありますが(付点8分ディレイ奏法)、こちらはまた演奏の一つの手法として認知されています。

ディレイ・エフェクターについて – エレキギター博士

コーラス

音に揺らぎを与えるエフェクター。浅めの揺らぎを原音に混ぜることで独特の広がりを生み出すことができます。コーラスエフェクター自体は浅い揺れから深い揺れまで多彩に作り出すことができますが、アコギに使われる揺れについては浅いものがほとんど。浅い揺れをうっすらと掛けることで、音色に広がりを与え、音色を爽やかに彩ることができます。特にストロークの演奏には相性が良く、歌の後ろの軽やかな16ビートのストロークなどには効果抜群です。深いコーラスは効き目が強すぎるので奇妙な音色になりやすく、使う頻度は少ないかもしれません。

プリアンプ/エフェクターのおすすめ製品

プリアンプをメインとして、エフェクトの搭載は必要か否かを考えて選ぶと良いでしょう。また、ギター側にプリアンプが付いていて、機材を小さく抑えたい場合であれば箱鳴りのシミュレーターを使うのも一手。ギター側のピックアップと同じメーカーのものを選ぶと、メーカーの狙った音がそのまま得られるためもっとも無難。また、適したピックアップのタイプがあるプリアンプもあり、それも参考にするとなお良いです。