様々なシーンで利用できる、エレアコ用アンプ特集[記事公開日]2019年3月21日
[最終更新日]2022年03月31日

アコギ/ボーカル用アンプ

自分を売り込む/プロモーションするのに一番手軽なライブ方法といえば(動画配信もありますが、それは別の機会に)、ストリートライブ。練習にもなるしステージ度胸もつきます。歌を伝えるということを確認できる機会でもありますよね。静かな場所でアンプを通さないアンプラグド演奏で、音が聞こえるなら大丈夫ですが、駅前や街中の喧騒の中で弾き語りをする人ならギター・アンプは必需品。そんな都会の街中で演奏したいストリートムージシャンにオススメのエレアコ・アンプ / ストリートライブで使えるアンプ等を紹介します。

弾き語り用アンプの選び方

弾き語りは歌とギター、あるいは歌とキーボードであったりしますが、いずれにせよ同時に2つの入力が必要不可欠。ほとんどのストリート用アンプが2チャンネル以上の入力に対応していますが、まずここをクリアしていないと話になりません。また、カラオケをバックに流して歌う場合、AUX IN端子が必要になってきます。リズムトラックだけバックに流しておく、などといった場合も同様です。最近のアンプにはBluetooth機能が付いているものもありますが、接続トラブルなどの可能性がゼロではないため、あくまでも補助的に考えておくのが無難です。

Roland CUBE Streetのコントロールパネル:マイクとギター2つの入力端子が搭載されている。

歌と楽器での演奏には、両方の音質を別々に調整できるよう、EQ(ベース、ミドル、トレブル)がチャンネルごとに個別に付いているような製品がより使いやすいでしょう。エフェクトについてはコーラス、ディレイなどはその人のスタイル次第といったところがありますが、リバーブは確実にほしいところです。野外での生音は残響が掛からないため、素の状態での演奏はなかなか厳しいものがあります。

この他のさまざまな機能については運用、及び演奏スタイル次第です。たとえば、移動が多い人であれば小型軽量にはこだわる、広い場所での演奏が多い人なら大出力がほしい、などなどです。

フルワイヤレス対応アコースティックギターアンプ「YAMAHA THR30IIA Wireless」

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ヤマハの「THR30IIA Wireless」は、ギターとボーカルで独立した入力を持ち、両方の音質にしっかりこだわることのできる、弾き語りに最適なアコースティックギターアンプです。

妥協のない、スタジオクオリティのギターサウンド&弾き語りに最適な機能

THR30IIA Wireless:コントロール

アコギの音は「TONE SELECT」と「TONE BLEND」二つのツマミを操作することで、立ち上がりの鋭いエレアコのサウンドと、オーガニックなマイク録りのサウンドとをブレンドできます。EQもエフェクターも備わっており、またユニークな「STEREO IMAGER」によってギターの音像を広げたり狭めたりすることで、ボーカルをより際立たせることができる弾き語りに最適な機能も搭載。アンプだけでレコーディング品質のギターサウンドを作ることができます。

マイクの音も、しっかり調節できる

THR30IIA Wireless:マイク端子

ボーカル入力端子には、アコギの音とちょうど良く馴染む音になるように設計されたマイクプリアンプ「D-PRE」が備わります。これにより手軽にちょうど良い感じのボーカルサウンドが作られるほか、専用アプリ「THR Remote」(無料)を使用すればボーカルにもEQやHPF(ハイパスフィルター)がかけられます。またギターと別系統のリバーブを備えていますから、ボーカルの音作りも我慢しなくて済みます。また、このマイク入力部はコンボジャックになっているので、ボーカルマイク以外にも別の楽器のライン入力が可能。こちらにギターを入れてツインギターで演奏することも可能です。

便利な機能がいろいろ

出来上がったギターとボーカルの設定は、本体に5セットまで保存できます。スイッチ長押しで保存、ポチッで呼び出しの簡単な操作で、曲や楽器ごとに設定を分けたり、ライブなら出演者ごとに良好な設定を作っておいたりと、便利に使用できます。
ライン出力端子が備わっているのは、ライブでは特に有用です。ライン出力から信号をPAに送りつつ、THR30IIA Wirelessを自分用のモニターとして使用できます。専用キャリングケース(別売)もあるので、持ち出しも安心です。

「ワイヤレス」による無上の開放感

また、モデル名が示すワイヤレス機能もポイントです。ワイヤレス送信機「LINE6 Relay G10T」(別売)を使ったギターワイヤレスにとどまらず、スマートデバイスとのBluetooth接続で音楽再生やTHR Remoteアプリでのサウンドメイキングができ、さらには充電式バッテリーが内蔵されているので電源ケーブルをはじめとした煩雑なケーブルからも解放されます。

《ただものではないデスクトップアンプ》YAMAHA「THR30IIA Wireless」

電池で鳴らせるアコースティックアンプ

単三電池などで駆動可能なタイプ。電源確保を考えなくて良いため、気軽にセッティングができ、すぐにライブに入ることができます。デメリットとしては、どうしても出力ワット数が低くなりがちで、大音量が得にくいこと、そして駆動時間を気にしなければならないことが挙げられます。しかし、最近では電池だけでもかなりの音量が得られるモデルもあり、さらに通常ライブを6時間以上もぶっ通してやることは考えにくく、いずれも致命的なデメリットではないため、外でのパフォーマンスの際にはまず候補に入れたいところです。

Roland AC-33

Roland AC-33

Rolandの電池駆動アンプとしては最もよく知られた製品。単三電池8本で約8時間の駆動が可能で、インプットはギター用とマイクあるいは他楽器用の2チャンネル、そして別途AUX INの計3系統。アコースティックギターに特化した美しいサウンドには定評があり、ギター用のエフェクトやアンチフィードバック、ルーパーも装備しています。ステレオスピーカー2発で30W(電池駆動の際は20W)を実現しており、音量的にも十分なものが得られ、木製の外観も高級感を醸しだし好印象。値段もさほど高くなく、ギターでの弾き語りや独演には最初の一台として、無理なく導入できるでしょう。

Roland AC-33 – Supernice!ギターアンプ

Roland CUBE Street

Roland CUBE Street

斜めにスラントした特徴的な外観が印象的なローランドのストリート用アンプ。単三電池6本での電池駆動で15時間の演奏ができ、ギターあるいは他の楽器、そしてマイクインプットの2系統を持つ独立2チャンネル仕様で、インストゥルメンタル用インプットにはエレキギター用のエフェクトなどを搭載し、マイクインプット側にはディレイ、リバーブを搭載します。5W出力なので大音量は苦手ですが、通常の弾き語りやエレキギターの独演などには十分な出力でしょう。

Roland CUBE Street EX – Supernice!ギターアンプ

Roland Mobile AC

Roland Mobile AC

AC-33などで培われたACシリーズの音を、よりポータブルな形で実現すべく開発された製品。外観や使い勝手は前段階で開発されていたMobile CUBE(後述)を踏襲しながらも、アコースティックギターにより特化したサウンド作りが行われており、エフェクトなどもギター用に調整されたものが使われています。独立3チャンネル仕様、単三電池6本で15時間の駆動が可能で、CUBE Streetと同じ5W出力ながら、重量は約半分なので、手持ちで運搬するにはうってつけの製品。ただし、Streetは弾き語り系ライブパフォーマンスに特化して設計されている分、地面に置いての演奏、エフェクトの種類、使い勝手では当製品よりやや優れます。迷った際は自分の運用スタイルで決めると良いでしょう。

Roland Mobile AC – Supernice!ギターアンプ

VOX Adio Air GT

VOX Adio Air GT

電池駆動も可能な練習用アンプ、という位置づけで登場したVOXの製品。一般的なエレキギター練習用アンプとして、様々なエフェクトやPCやスマートフォンとの連動での音色調整など、現代風の機能が全て入った一台。ギターの他、AUX INからの入力こそ可能ですが、商品としてのウリでもある50W出力が電池駆動時には5Wになったり、複数の楽器の入力に対応していなかったりするなど、野外ライブ用としては実用的に機能不足と思われることも。あくまで「持って行けるエレキギター用アンプ」という立ち位置としてならば、このサイズでの50W出力は他にはない魅力となり得ます。

VOX Adio Air GT – Supernice!ギターアンプ

LANEY Freestyle 4×4

LANEY Freestyle 4x4

ミキサー内蔵型パワードスピーカー。独立3チャンネル(うち1つがステレオ)、Bluetooth入力を兼ねたAUX IN、計4つの入力系統を持ち、個別に音量を設定可能。エフェクトもリバーブ、ディレイだけが内蔵されており、各チャンネルごとにオンオフを切り替えられます。さらに、アコギ用にアンチフィードバックが搭載されているのも嬉しいところです。単三電池8本で35W出力を実現し、専用のバッテリーパックを使えば24時間の連続駆動も可能。4つのスピーカーが縦に並んだデザインは、出力以上の音圧を感じさせ、ストリートパフォーマンスするにおいて申し分のない選択となるでしょう。

電源コンセントが必要なアコースティックアンプ

コンセントが必要なタイプは大出力が得やすいのが最大の利点。反面、電源確保にはおおいに悩まされるところで、野外での使用では電源がない場合、発電機を持って行く、バッテリーを持って行くなどの対策を考えなければなりません。いずれも荷物が増えて運搬が難しくなり、かつ機材費がより高くなります。電源確保ができるところでは万一の電池切れの心配も無く、非常に良い選択となるでしょう。また100W以上などの大出力を得なければならない場合、電池駆動アンプではもとより難しいのは言うまでもありません。

AER Compact60/3

AER Compact60/3

エレアコやジャズギターでの定番のアンプ。6.5kgの軽量ながら60Wの大音量を実現し、ギターのみならずボーカル用のマイクインプットも内蔵しているため、これ一台で自在なパフォーマンスが可能。エフェクトもリバーブ、ディレイのみ搭載されており、センドリターン端子を使い外部のものを利用することも可能。音質はAERだけあり、まさに最高峰のもので、電源が確保できるのであれば、音質的にはもっとも妥協を排した選択となります。

Hartke ACR5

Hartke ACR5

ベースアンプのブランドとして名高いHartkeのアコースティックギター用アンプ。マイクインプットとの2チャンネル仕様で、個別にEQやエフェクトをセッティングできます。チューナーを内蔵し、エフェクトはリバーブ、ディレイに加えコーラスも搭載。ウーファーとツイーターに分かれたスピーカー部は高音、低音を無理なく再生し、美しいアコースティックの音を出力してくれます。出力は十分に余裕のある50W。重量は11kgとそれなりにあるものの、本体が小さいため、運搬は比較的容易です。

Hartke ACR5

LANEY A1+

LANEY A1+

2チャンネル仕様のアコースティック用アンプ。2系統の入力に加え、AUX IN端子を装備。チャンネルごとに独立したEQを持ちますが、ミッドスウィープという、一風変わった中域の調整つまみがあり、中域部分についてはかなり細かく設定できます。エフェクトはリバーブ、ディレイ、コーラス。センドリターン端子を使い、外部のものを利用することもできます。出力は80Wという余裕のあるもので、機能的には非常に優れていながら安価なこともあり、導入しやすいモデルの1つです。

LANEY A1+

VOX VX50-AG

VOX VX50-AG

アコースティック用では初となる、新世代の極小真空管Nutubeを搭載したアンプ。4kgの軽量で50Wのハイパワーを実現し、弾き語りができるように2チャンネル仕様としたアコースティックギター専用アンプです。マイクインプットにはファンタム電源も付いており、コンデンサーマイクも接続可能。AUX INやライン出力などの端子に加え、エフェクトもリバーブ、コーラスを搭載し、必要十分な装備にして真空管特有の温かみのある音色が魅力です。アコギ用の他、ベース用、キーボード用が用意されており、いずれもエレキギター用に比べると、モニターアンプ的なクセのない音色を目指した製品であることが窺えます。

VOX VX50シリーズ

FENDER Acoustasonic 15/40/90

FENDER Acoustasonic 15Acoustasonic 15

フェンダーのアコースティック用アンプ。出力ごとに3機種が存在し、いずれもマイクとギターの同時入力が可能な2チャンネルの仕様。15WのものにはAUX IN端子がないため、外部音源を一緒に鳴らす際には注意。40、90であればEQもチャンネルごとに独立しており、シンプルにコントロールできる使いやすいモデルとなってきます。15,40Wモデルにはコーラスエフェクト、90Wモデルにはそれに加えてリバーブやヴィブラートなどが付くため、ライブなど実戦でも申し分ない装備となります。フェンダーらしいツイード調の外観に似合わぬ安価で、導入しやすいのも嬉しいポイントです。

Fender Acoustasonic 15
Fender Acoustasonic 40
Fender Acoustasonic 90

FENDER ACOUSTIC 100/200

FENDER ACOUSTIC 100ACOUSTIC 100

Acoustasonicのシリーズの上位に位置するモデルがこのACOUSTIC。外観は曲線を基調とした、よりシックな高級感醸し出すものとなり、Acoustasonicシリーズにはない100W以上のモデル展開となっています。完全独立2チャンネル仕様となり、EQおよびエフェクトもそれぞれ独立した調整が可能。エフェクトはリバーブやコーラス、ディレイなどが搭載されていますが、リバーブはモードが数種類あり、緻密な掛け方ができるように。AUX INはBluetooth機能を併せ持ち、レコーディング用にPCと繋ぐためのUSB端子も装備するなど、現代的な機能もしっかりカバーしています。100Wで8kg程度と大出力なわりに軽量なのも嬉しいところで、ライブのために運搬するのも十分に可能でしょう。

FENDER ACOUSTIC 100
FENDER ACOUSTIC 200

BOSS Acoustic Singer Live / Acoustic Singer Pro

BOSS ACS-LIVEACS-LIVE

RolandではなくBOSSブランドで送り出されている弾き語り用アンプ。BOSSのプリアンプ兼エフェクターである「VE-8 Acoustic Singer」にパワーアンプとスピーカーを装着し、完全なるコンボアンプとしていち製品に昇華させた、他に類を見ないコンセプトで作られた製品です。マイクとギターの同時入力に特化した設計がなされているだけでなく、非常にすぐれたハーモナイザーを装備。コード進行を分析し、自動で歌にハーモニーを付けてくれるこの機能は、まさしくVE-8ゆずりの代物で、このアンプの特徴を決定づける機能となっています。他にもVE-8ゆずりのルーパーもしっかり搭載。一台で弾き語りのパフォーマンスを最大限まで広げることのできる、唯一のアンプと言えるでしょう。LiveとProに大きな差はなく、60Wと120Wという出力差があるのみです。

BOSS ACS Acoustic Singer

モニター用アンプ

他にも、キーボード等のモニター用に使うアンプはアンプ自体に”クセ”が少なく、アコースティックギターの本来の音を忠実に再現してくれるので、野外演奏向けといえるでしょう。なかでもPAシステムは複数チャンネルの入力に特化し、ミキサー機能を兼ねているものが多く、複数の楽器やマイクをつないだり、複数人でのアンサンブルにも適した製品が多く見られます。バッテリーや電池駆動に対応したものが多いのもこのカテゴリの製品の特徴で、今回は電池駆動可のものを数種類集めてみました。

Roland Mobile CUBE (MB-CUBE)

Roland Mobile CUBE

あらゆる楽器やオーディオからの入力を想定した、ローランドの汎用ポータブルアンプ。同形のMobile ACと違い、ギターに特化していない分、モニターとしても使えるクセの無い音が特徴。エフェクトもディレイ、リバーブ、コーラスと必要にして十分装備されています。独立3チャンネル、電池での駆動時間、出力など、ほとんどの部分でMobile ACと同じスペックで、重量もほぼ同じ。歌が中心のパフォーマンスであったり、キーボードやヴァイオリンなどギター以外の楽器を繋ぐことが多い場合、Mobile ACではなく、こちらを選んだ方が良いでしょう。

Roland Mobile CUBE

CLASSIC PRO PA-BOX

CLASSIC PRO PA-BOX

バッテリー駆動式のPAシステム。出力は15Wながら、8インチのウーファーによる音圧はそれを感じさせないほどで、広大なスペースでは不足するものの、2,30人程度の規模であれば十分に音を聴かせることができます。マイクゲインを持った入力が2つにLINE IN端子、SDカードからのMP3読み込みやUSB端子、Bluetoothにも対応し、入出力は十分な量を確保。満充電状態から8~10時間の駆動ができるので、駆動時間に不足することはまずないでしょう。内部にケーブルを収めるスペースがあったり、キャリーカート、ハンドルの剛性も十分で、持ち運びに至るまでよく考えられた製品です。

Roland BA-330

Roland BA-330

15Wx2のステレオ出力を備えたRolandのPAシステム。単三電池8本で8~12時間程度の連続駆動が可能。6チャンネルという入力数はまさに簡易ミキサー並で、背面には複数のつまみが並んでいます。3-4、5-6チャンネルについてはステレオとなっているので、完全独立ではありませんが、それでも電池駆動の30Wスピーカーでこの入力数は驚きです。これだけの入力数をフルで使うとなれば、複数人でのアンサンブルが最も適当。2人あるいは3人程度のアンサンブルまでなら十分に対応できるでしょう。ウーハー4基、ツイーター2基のスピーカー構成は音質的にも不足無く、Rolandブランドに恥じない高音質を実現しているので、多チャンネルを使わずとも、この音質だけで導入する価値も大いにあります。

KORG STAGEMAN 80

KORG STAGEMAN 80

80Wの大出力に対応した、KORGのポータブルモニターアンプ。モニターアンプ兼リズムマシン兼レコーダーといった趣の、この中では唯一にして異色のアンプであり、様々なスタイルでの運用が考えられる製品です。生音をサンプリングしたリズムを24種類×2バリエーション内蔵し、フットスイッチなどで随時テンポ変更などしながら演奏可能。SDカードを挿入することでレコーダーとしても機能するので、レコーディングや楽曲のスケッチにも運用できます。単一電池6本で20時間もの駆動時間を確保し、さらには電池とは思えない80Wの大出力を実現。独立2チャンネル仕様にリバーブやチューナーなど搭載と、アンプ単体としても十分に優秀で、野外でのライブパフォーマンスの枠を広げられそうな面白いモデルとなっています。


ストリートパフォーマンスが広がるにつれて、このジャンルのアンプ、スピーカーも多岐に渡る製品が送り出されてきました。大きく分けて電池式か否かで分類できるので、まずそこを決めた上で、自分の楽器や演奏スタイルに合った音質や機能を持ったものを、多数の選択肢から選んでいくと良いのではないでしょうか。自分のスタイルに合ったアンプをしっかり選び、良い音楽を演奏するための助けとしたいものですね。