Ibanez(アイバニーズ)のアコギの特徴とラインナップ[記事公開日]2026年1月29日
[最終更新日]2026年10月6日

Ibanez(アイバニーズ)のアコースティックギター

「アイバニーズ」といえばエレキギター・ブランドとして有名ですが、そもそものブランド名「Ibanez」は、星野楽器が1929年から輸入していたスペインのギターブランド「サルバドール・イバニェス(Salvador Ibáñez)」を由来としており、もともとクラシックギターのブランドでした。

アイバニーズのエレアコは、

  • リードプレイをサポートするカッタウェイ
  • 抱えやすい厚みを抑えたボディ、細身で握りやすいネックと平たい指板
  • シンプル設計のプリアンプ

といったところが特徴で、エレキギターをメインで演奏するギタリストがステージで持ち替えても、ネックのグリップやボディの厚みがちょうどよくしっくりと収まり、たいへん弾きやすいのが持ち味です。
日本国内では1990年代から正規流通が始まり、シンプルかつスタイリッシュ、機能的でありながら価格を抑えるというアイバニーズらしい個性をアコギにも展開しています。


  1. アイバニーズのアコギの特徴
  2. アイバニーズのエレアコラインナップ
  3. アイバニーズのアコギ(スタンダード・小型)ラインナップ

アイバニーズのエレキギター – エレキギター博士

Ibanez Acoustic / Electric Demo by Remy Hansen

2017サウンドメッセ:Ibanezブース
2017サウンドメッセ:Ibanezブース

アイバニーズのアコギには、楽器としての機能性をしっかり確保しながらもわざわざ王道を外した設計のギターが目立ち、作り手は遊んでいるのか真面目なのか、判断がつかない面白さがあります。

スタンダードなドレッドノートやグランドコンサートをそろえつつも、独自開発の音響構造「A.I.R.port」を備えた現行AEシリーズや、Polyphiaのティム・ヘンソン氏とのコラボから生まれたナイロン弦エレアコ「TODシリーズ」、ジョン・ゴム氏のパーカッシブ奏法専用機「JGMシリーズ」といった他社にはない切り口の製品が並びます。

材料となる木材についてはスプルースやマホガニーなどの定番だけでなく、近年はオクメ(オコウメ)やサペリといったアフリカ系の材を積極的に採用し、価格と響きのバランスを取った設計が広がっています。
木目に面白みがあったりトーンに個性があったりという、キャラクターの立った木材を採用するモデルをいくつも揃えるという姿勢は、シリーズ名にも「Exotic Wood由来のAEW」と現れています。

アイバニーズのアコギは、弦長こそ普通ですが、ボディ厚やネックの太さといった寸法を気持ち抑えた、若干コンパクトな作りになっています。
エレキギターからの持ち替えを想定しているサイズ感ではありますが、ギターをはじめたばかりの初心者や小柄なプレイヤーにもフィットする大きさです。

エレアコの電気部分は、

  • アイバニーズ独自の「T-bar」などのアンダーサドル・ピックアップ、上位機種やシグネチャーモデルではフィッシュマン製のピックアップ(S-Core/Acoustic Matrixなど)
  • シンプルな構成のオリジナルプリアンプ「Ibanez AEQ-TP2」など

という構成が基本になっています。
AEQ-TP2は高/低音域を調整する2バンドイコライザーとクロマチックチューナーをそなえた、シンプルながら必要充分なスペックです。
じっくりセッティングを煮詰める訳にもいかないような忙しい現場では、このようなシンプルなプリアンプの方が頼りになります。

またAE100やGA35TCEなど一部のモデルには、

  • ギターケーブル用の標準ジャック(1/4″フォーンジャック)
  • マイクケーブル用のキャノンジャック(XLRバランス端子)

のふたつが付けられます。
キャノンはノイズに強く、録音などで便利です。

「ライフハック(仕事術)」とは、まさにこのことというべきブリッジピンが装備されます。
ブリッジピンの先端を斜めにカットしておくことで、弦交換の際にボールエンド部分をわざわざ曲げておかなくても、スムーズに弦が固定されるシステムです。
これによって、弦を交換する時間を若干短縮させることができます。
また必要以上にピンが深く刺さらないようにできているため、弦を張った状態でピンの頭が見栄えよく整然と並ぶようになっています。

アイバニーズのエレアコは、ハウリング対策のために厚みを抑えたボディ構造とシンプルな電気系、エレキギターに近いネックグリップを特徴としており、ロックバンドがステージで使用することを強く意識した設計になっています。
収まりのいい弾き心地は、アコギとしての弾きやすさに留まらず、「エレキギターからの持ち替えがいかにスムーズにできるか」まで深く考え抜かれています。
現行エレアコの代表モデルを並べると、弦の種類とボディ、ピックアップの組み合わせで個性がはっきり分かれます。

シリーズ 弦 ボディ ピックアップ
AEAE100 スチール AEボディ(浅胴) Ibanez T-bar
AAMAAM50CE スチール アドバンスド・オーディトリアム Ibanez T-bar
AEWAEWC400 スチール AEWCコンフォート・ボディ Fishman S-Core
TODTOD10N ナイロン FRHボディ(薄胴) Fishman S-Core
FRHFRH10N ナイロン FRHボディ(薄胴) Ibanezアンダーサドル
CLASSICALGA35TCE ナイロン シンライン・クラシック Ibanezアンダーサドル

エレアコの主力シリーズで、2024年に新ボディ構造「A.I.R.port」を備えた全面刷新版が登場しました。
A.I.R.portは、ボディ内部の独自構造で音を反射させ、決められた位置に開けた響孔から音を出すことで、弾いている音を奏者がはっきりモニターできるようにした構造です。
同時に新採用された「X-Mブレーシング」は、従来のAEシリーズに比べて低音域を持ち上げつつ高域のクリスピーさも残す、バランス重視のチューニングが施されています。

What is the A.I.R.port? | Ibanez Acoustic

ドレッドノートより小ぶりなオーディトリアム・シェイプを、アイバニーズが独自に見直したシリーズです。
アイバニーズは、従来のオーディトリアムには中低音域が不足しがちなことや、重心がネック側に傾いて抱えたときのバランスに難があることを課題とし、その解決を目指してAAM(Advanced Auditorium)のボディを設計しています。
ボディ形状はカッタウェイ付きの「Advanced Auditorium with Advanced Access Cutaway」で、AEシリーズと同じくA.I.R.portとX-Mブレーシングを備えます。

The Story behind the Advanced Auditorium | Ibanez AAM

「アコギ(=Acoustic)にエキゾチックな木材(=Exotic Wood)を使ってみた」というシリーズ名のラインナップです。
特徴的な杢目を持つ”エキゾチック・ウッド”をボディ材に積極的に採用したEW(Exotic Wood)シリーズの延長線上にあり、ウッディなデザインはそのままに、エレアコとしての使いやすさを追求しています。
ロゼッタ(サウンドホール周りの装飾)も異なる木材の組み合わせで作られ、このシリーズ独特の個性を演出しています。

コンパクトなボディと細身のネックで、弾きやすさが支持されてきたエレアコのシリーズです。

Polyphiaのギタリスト、ティム・ヘンソン氏のシグネチャー・ナイロン弦エレアコです。
クラシックギターの低めの弦テンションと、エレキギターに近い細身のネック・薄いボディを組み合わせたハイブリッドな設計で、テクニカルなフィンガースタイルやタッピングをそのままアコースティック領域に持ち込めるのが最大の特徴です。
指板にはスティーヴ・ヴァイのJEMが用いる「Tree of Life」へのオマージュとして「Tree of Death」インレイが入ります。

ボディ厚を約49mmにまで切り詰めたシンライン・ナイロン弦エレアコのラインナップです。
エレキギターに近い感覚で抱えられる薄型ボディと、クラシックギター本来のファン・ブレーシングを組み合わせることで、ナイロン弦特有の表情豊かな響きを保ったまま、ハウリングの起こりやすいライブ環境でも扱いやすい設計になっています。

クラシックギター/ナイロン弦エレアコのラインナップです。
「一人でも多くの人に気軽に、手にしたその瞬間から、ガット・サウンドを存分に楽しんでもらいたい」というコンセプトのエレクトリック・クラシカル・ギターで、日本の公式サイトではGA35TCEが掲載されています。

パーカッシブなフィンガースタイルで知られるアーティストのシグネチャー・モデルです。
いずれもフィッシュマンのRare Earth Mic Blendピックアップを搭載しています。

独自路線を走るエレアコに対し、スタンダードなアコギのラインナップは伝統的なスタイルに従っています。
新品であっても古くて渋い印象を感じさせる仕様であったり、現代ではなかなか使われない前時代の仕様のものであったりして、それぞれに匂いを感じさせます。

伝統的なドレッドノートとグランドコンサートを軸とした、マーチン的なスタイルを摂ったアコギのラインナップです。
日本の公式サイトでは、透明感のあるサウンドと優れた演奏性を追求したArtwoodのエレクトリック・モデルとしてAC419Eが掲載されています。

アイバニーズのエントリー価格帯を支えるラインナップで、公式には「エントリーモデルでありながら個性をも備えるアコースティック・ギター」とされています。
日本の公式サイトに掲載されている現行モデルはすべてピックアップとチューナー付きのAEQ-2Tプリアンプを搭載したエレアコで、ドレッドノート(PF)、カッタウェイ付きグランドコンサート(PC)、パーラー(PN)の3つのボディを揃えています。
「これからギターを始めたい」「予算を抑えて1本目を手に入れたい」という人に向けた、最も手の届きやすい価格帯のシリーズです。

小型ボディや特殊な素材を採り入れた、変わり種のアコースティック・ラインナップです。
トップ、サイド、バックを別々に作る一般的な構造ではなく、木材のブロックをくり抜いてサイドとバックを一体で作り、そこにトップを貼ってボディを仕上げる独特の構造です。
ステレオ・サウンドポートやアームレストなども備えています。

通常のアコギの1/3サイズ、ウクレレほどのコンパクトなボディに金属弦を6本張った「ピッコロギター」のラインナップです。
オリジナル・シェイプのEWをもとに小さくリサイズしたボディに、一般的なミニギターより短い432mmスケールのネックを組み合わせています。

以上、アイバニーズのアコギをチェックしてきました。
なお、アイバニーズのアコースティックカテゴリには、ここまで紹介してきたシリーズに加え「UKULELE(ウクレレ)」と「ACOUSTIC BASS(アコースティック・ベース)」のラインナップもあります。
それぞれ独自のシリーズ展開を持ち、Mandolin(マンドリン)やBanjo(バンジョー)まで含めると、アイバニーズのアコースティック楽器全体は12カテゴリにわたる広いラインナップになっています。