
「フェンダー」といえば、エレキギターやベース、アンプといった電気系のイメージが濃厚ですが、アコースティックギターの分野にも長く取り組んでいます。
実は1960年代にはストラトキャスター由来のヘッドとボルトオンネックを持つアコギを世に送り出しており、決して新参のブランドではありません。
近年はそのノウハウを土台に、オーソドックスなスタイルのモデルから、エレキとアコギを融合させた「アコースタソニック」のような意欲作まで、ラインナップを大きく広げています。
今回は、このフェンダーのアコギを追跡してみましょう。
新山詩織「絶対」MV
持ち前のリズム感と歌声、そしてギターの腕前から「音楽が天職の人」とまで言われるシンガーソングライター。高校在学中にメジャーデビューを決めた華々しいスタートは、東京や埼玉・大宮など各地でストリートライブを重ねるなどの修行の成果だと言われています。
フェンダーはエレキで有名なブランドですが、すでに成熟しているアコースティックギター市場で存在感を示し続けるのは、大きなチャレンジだと言えるでしょう。
「アコースティック」という分野で、「フェンダーらしさ」をしっかり主張していく必要があるわけです。
その意味でいわばチャレンジャーである「フェンダーのアコギ」にはどんな特徴があるのでしょうか。
トップ・サイド・バックすべてにマホガニーを使ったオールマホガニー仕様
フェンダーのアコギには、ネック・ボディトップ&サイド&バックにマホガニーを使った「オールマホガニー」モデルが各シリーズに用意されています。
クラシックデザイン・シリーズの「CD-60SCE ALL-MAHOGANY」や、再設計されたパラマウント・シリーズのマホガニー版など、入門機から上位機まで選択肢があります。
マホガニーの落ち着いた風合いや暖かみのあるサウンドキャラクターには、無視できない魅力があります。
木材以外が同じ仕様の通常版もあるモデルでは、実際に弾き比べてどちらか好きな方を選ぶ、なんていう楽しいことができます。
Alisa Xayalith of The Naked And Famous Performs “Last Forever” | Here For The Music | Fender
軽やかで暖かい雰囲気はオールマホガニーの大きな持ち味です。またこのマホガニーのルックスは、男声目線ではシブく、女性目線では可愛らしく見えるようです。
サウンドホールとネックに接する独特のピックガード形状
現在のフェンダー製アコギは、ピックガードのデザインが多くの機種で共通しています。
大きく膨らんだ部分にちょっとしたへこみのある形状は、オーソドックス感がありながらも特徴的で、知っている人なら一目でこれがフェンダー製だと判別できます。
サウンドホールに沿い、ネック方向に行くにしたがって細くなっていく先がネックに接している、というのもちょっとしたポイントで、
「この両方を成立させる加工精度でギターを作っている」、というアピールになっています。
これはYAMAHA FGシリーズで長らく採用されてきたピックガードのコンセプトとも通じる発想だと言えるでしょう。
フェンダーのアコギ、とくにカリフォルニア・シリーズなどでは、ストラップピンをボディ側面(上側のショルダー寄り)に取り付ける設計が採用されています。
ギブソンやグレッチなどのフルアコでは当たり前の位置ですが、アコギの側板は薄く、ピンに重みがかかると割れてしまう恐れがあります。
フェンダーではボディの内側に木材のブロックを設置し、重みを受け止められるようにしてまで、この位置を選んでいます。
ストラップピンの位置は立って演奏する時のバランスを大きく左右しますが、ひとたびフェンダーのアコギを立って構えれば、この位置だからこそのバランスを感じることができるでしょう。
エレキギター由来の発想を随所に持ち込む、フェンダーらしいこだわりの一つだと言えます。
フェンダーとフィッシュマンが共同開発したピックアップ/プリアンプ
エレアコに搭載されるピエゾピックアップとプリアンプは、この分野の老舗「フィッシュマン」社とフェンダーとのコラボで開発されています。
入門機の「Fishman Isys III」や上位機の「Fishman Presys」など、機種に応じたシステムが用意され、「2バンドイコライザー+ボリューム」のようにシンプルな構成にまとめられていて、使いやすさがあります。
クロマチックチューナーを備えるものも多く便利です。
ボディサイズや形状、また使用する木材などさまざまな要素でアコギの音は作られますが、フェンダーのアコギは総じて低音が膨らみすぎないよう整理されており、中高音の存在感がある明瞭なトーンを持っています。
これはフェンダー・エレキギターのイメージである「シャキっとした音」をアコギの分野で発揮しているかのようです。
こうした音はアンサンブル内でも聴きやすいので、アコギがメインの人も納得できるギターになっています。
Dear Boy Performs “Alluria” | Fender
ライブの光景を見ると、「カリフォルニア」シリーズの塗りつぶしトップとマッチングヘッド、またサイドとのツートンカラーの意匠がやたらかっこよく見えますね。
フェンダー・アコースティックのラインナップは、大きく次の7つのカテゴリーから展開されています。
まずはそれぞれがだいたいどういうものなのかを見ていきましょう。

「アコースタソニック」は、テレキャスターやストラトキャスター、ジャズマスターといったエレキギターのシルエットを持ちながら、内部を空洞化(チェンバード)したマホガニーボディとシトカスプルースのサウンドボードを組み合わせた、薄胴のハイブリッドギターです。
フェンダーとフィッシュマンが共同開発した「アコースティック・エンジン」と、ボディの鳴りを引き出す「ストリングド・インストゥルメント・レゾナンス・システム(SIRS)」により、1本でアコギからエレキまで幅広いトーンをカバーします。
ストラトキャスター・シェイプは現状アメリカ製のみのラインナップで、プレイヤー/スタンダードはテレキャスターとジャズマスターの2形状で展開されています。
Fender Acoustasonic Stratocaster
Fender Acoustasonic Telecaster
Fender American Acoustasonic Jazzmaster – エレキギター博士

「ハイウェイ・シリーズ」は、ボディ厚をぐっと抑えた薄胴(約57mm)のエレアコです。
ステージでハウリングを抑えながら、エレキ用アンプにもつなぎやすい扱いやすさを狙ったモデルで、フィッシュマンの「フルーエンス・アコースティック」ピックアップを搭載しています。
ネックジョイントには3点ボルトオンを採用するなど、エレキ由来のフェンダーらしい設計が随所に見られます。
Fender Highway Series|エレキの弾き心地のアコギ – エレキギター博士

総単板ボディと専用の装飾が与えられるパラマウント・シリーズ
「パラマウント・シリーズ」は、「最高(Paramount)」の名にふさわしい総単板の上位ラインです。
といった点を共通仕様とし、ボディ形状でバリエーションが付けられています。

ストラトキャスターと同様の見慣れた6連ヘッドが採用されている。
「カリフォルニア・シリーズ」は、エレキギターで名を馳せたフェンダーらしいスタイルのラインナップです。
を特徴とし、アコースティック専門ブランドではなかなかできなかった、個性的なモデル展開をしています。
ボディは小型の「マリブ(MALIBU/パーラー)」、中型の「ニューポーター(NEWPORTER/オーディトリアム)」、大型の「レドンド(REDONDO/ドレッドノート)」が基本。
2023年の刷新で、かつての「クラシック」グレードは姿を消し、ヴィンテージ復刻系の「Vintage」グレードが新設されました。
現在は Standard/Player/Special/Vintage の4階層構成です。
The Regrettes Perform “Seashore” | Fender
ロックバンドではやはり真っ黒い楽器は必須アイテムではないでしょうか。また、フェンダーはアコギとテレキャスターの相性が良好だと考えているようで、フェンダーのYoutubeチャンネルでは、アコギに合わせるエレキギターにテレキャスターが選ばれていることが多いようです。
「クラシックデザイン・シリーズ」は、オーソドックスなスタイルを踏まえたスタンダードモデルです。
ボディトップを単板にしている機種がほとんどで、フェンダーのアコギの中でも最大のバリエーションを誇ります。
また、指板のエッジを丸く整えた「Easy-to-Play(弾きやすい)」ネックがほぼ全機種で採用されています。
「140」と「60」の二つのグレードがありますので、グレードごとにラインナップをチェックしていきましょう。
Fender Classic Design Series | In-Depth Look with Patrick Matera | Fender
CC(コンサート)とCD(ドレッドノート)のサイズ感がよくわかりますね。
FAシリーズのミニギター
「FAシリーズ」は、合板を中心に価格を抑えた、これからギターを始める人にも手に入れやすい入門ラインです。
頑丈なだけでなく、大きめの「ヴァイキング(Viking)ブリッジ」など個性を演出する設計も取り入れられています。
現行の主なラインナップは、定番ドレッドノートの「FA-125/FA-125CE」、コンサートの「FA-135CE」、フレイムメイプルトップが目を引く「FA-235E(コンサート)」「FA-345CE(オーディトリアム)」、そしてアコースティックベースの「FA-450CE」など。
ミニギターは3/4サイズのナイロン弦「FA-15N」が現行で、スチール弦の「FA-15」は市場により取り扱いが分かれており、流通在庫が中心となりつつあります。
アーティストモデルは、日頃エレキギターをガンガン鳴らしているパンク/ロックのアーティストが名を連ねているところがちょっとしたポイントです。
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