タカミネのエレアコについて[記事公開日]2015年8月4日
[最終更新日]2022年03月31日

タカミネのエレクトリック・アコースティックギター(エレアコ)は国内では長渕剛氏が、海外ではジョン・ボン・ジョヴィ氏が、黒いタカミネをトレードマークにしています。それゆえ「タカミネといえば黒」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、もちろん色々なバリエーションがあります。タカミネのギターは渋い色調が多く、シックで堅牢な印象を感じさせます。またさまざまなサイズのボディがあるので、弾きやすさやサウンドなどで選択する幅が広く取られています。

モデル名の意味

タカミネの国内向け製品に付けられる品番は、基本的には
「プリアンプ名」+「3桁の数字」+「特筆事項」
で構成されています。

プリアンプ名は3つのアルファベットでコード化されており、

  • TDP:CTP-3:真空管プリアンプ
  • DMP:CT4-DX:拡張製のある高性能プリアンプ
  • PTU:CT-4BII:シンプルなプリアンプ

の3種類があります。

「561」「041」など3桁の数字は、
「ボディタイプ」+「グレード」+「弦の種類」
を意味しています。
「ボディタイプ」には0から8までの9種類あり、「グレード」は価格を表していますが、これは仕様まで規定しているものではなく、マテリアルにはいろいろあります。
「弦の種類」は「1」ならスチール弦、「0」ならナイロン弦ですが、一部例外があります。

「特筆事項」では、

  • カッタウェイモデル:C
  • ボディ材にハワイアンコアが使われている:K
  • アーチトップ仕様:A
  • ピックアップ増設済み:DC

というように暗号化されます。

※「ワールドスタンダードシリーズ」のモデル名は海外仕様に準拠しているため、規則性は曖昧になっています。

タカミネ・エレアコのラインナップ

タカミネがリリースするエレアコのラインナップは多くのモデルがありますが、ナット幅42mmが共通で、弦長にはロングスケール(644mm、約25.4インチ)とショートスケール(630mm、約24.8インチ)にまとまっています。
それに多様なボディタイプが加わり、たくさんの選択肢が用意されています。ネック材はほとんどのモデルがマホガニーで統一されていますが、ボディ材にはいろいろなバリエーションがあります。ただしマホガニーがボディに使用されることはなく、サペリやナトーといった代替材が使用されます。各シリーズで30万円を超える最高グレードのものは、基本的にはボディがオール単板で、指板にエボニーが使用されます(カタログなどの表記で「SOLID」とされているものが単板、そうでないものは合板になります)。
エレガット(ナイロン弦モデル)では、スチール弦モデルとは異なるナット幅/弦長のものもあります。

それではタカミネのエレアコにはどんなものがあるのか、チェックしてみましょう。

500シリーズ(ボディ幅400mm、弦長644mm)

タカミネ500シリーズDMP500、DMP561C BL、DMP551C WR、PTU541C

ドレッドノートとほぼ同じサイズを持った、タカミネの代表的なシリーズです。容量の大きなボディはキュっとくびれているため、大きさの気にならないスマートな印象になり、バランス重視の明瞭なサウンドが得られます。

指板などのインレイも豪華な最高グレードの「DMP500」は、オール単板スプルーストップ/ローズウッドサイド/バックのピックガードレス仕様になっています。以下のようにプリアンプやボディ材にバリエーションがありますが、トップ材は単板で統一されています。

  • DMP561C:スプルーストップ/サペリサイド&バック
  • DMP551C:シダートップ/サペリサイド&バック
  • PTU541C:スプルーストップ/ローズウッドサイド&バック
  • PTU531C:シダートップ/サペリサイド&バック

2015年夏に200台限定でリリースされる「TDP500-6」は、テレキャスターに似た片側6連ヘッドが長渕剛氏や往年の嘉門達夫氏を彷彿させる外観のモデルで、真空管プリアンプ「CTP-3」を搭載しています。

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長渕剛 – LONG LONG TIME AGO (「ACOUSTIC LIVE」より)
長渕剛氏のファンは、親愛を込めて「剛」と呼びます。剛のライブを支えるのはいつもタカミネ。クローシャンヘッド(片側六連ペグ)の黒いタカミネは剛のトレードマークになっています。

200シリーズ(ボディ幅400mm、弦長644mm)

タカミネ200シリーズDMP200 N、DMP281-DC N、DMP261C WR、PTU241C

タカミネの解釈によるドレッドノートが200シリーズです。本家ドレッドノートとほぼ同じサイズのボディで、このシリーズのみ、どのグレードもスプルース単板トップ/ローズウッドサイド&バックで統一されています。最高グレードの「DMP200」は華美なインレイを抑えた実直な作りになっています。これに次ぐ「DMP281-DC」は、サイド&バックにホンジュラスローズウッドを採用し、またコンタクトピックアップが増設された「デュアルモード」になっています。

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800シリーズ(ボディ幅408mm、弦長630mm)

タカミネ800シリーズDMP800 DAS

200シリーズより若干大きいドレッドノートタイプのボディに、弦長が短くコードを押さえやすいネックを挿入したモデルです。弦長を下げたことから弦の張力が落ちて弾きやすくなりますが、そのぶん弦振動のパワーが弱くなってしまいます。これに対してボディを大きめにすることで、パワフルなストロークに余裕で応えるキャパシティを持たせています。
最高グレードの「DMP800」はサペリ単板サイド&バックで、「ダブルハート」指板インレイが豪華な印象を演出しています。

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100シリーズ(ボディ幅380mm、弦長630mm)

タカミネ100シリーズDMP100、DMP181AC

500シリーズと近い外観を持ち、ボディサイズと弦長を抑えたモデルです。抱えやすく弾きやすいためライブパフォーマンスも展開しやすくなります。最高グレードの「DMP100」はサイド&バック材とネック材にメイプルをセレクトした異色のエレアコですが、それに次ぐ「DMP181AC」は同様のマテリアルでアーチトップ仕様になっており、ジャズギターのような雰囲気を醸し出しています。以下12弦仕様やハワイアンコアトップ&サイド&バックのモデルなど、仕様はバリエーションに富んでいますが、ピックガードがないことで統一されています。

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600シリーズ(ボディ幅380mm、弦長644mm)

takamine-600-seriesDMP670NC

カッタウェイの形状など相違点はありますがボディサイズが近いため、上記100シリーズのエレガット版とも言えるのが600シリーズです。ガットギターでありながら、ネックのサイズ感はスチール弦モデルと同一のナット幅42mm、弦長644mmとになっていますので、エレキギターなどからの持ち替えがスムーズにできるほか、クラシックギターに特徴的な幅広のネックが苦手だというプレイヤーにお勧めできます。

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300シリーズ(ボディ幅370mm、弦長650mm、ナット幅51mm)

DMP370NC NDMP370NC N

上記600シリーズに対して、一般的なクラシックギターのスタイルを持ったエレガットが300シリーズです。弦長650mmはクラシックの中でも長めになっています。これにより弦にしっかりとした張りがでて、ソロギターに限らずラテンやボサノヴァなどでのアンサンブルでも抜ける音を出します。

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700シリーズ(ボディ幅390mm、弦長644mm)

takamine-700-seriesDMP700 N

マーチンで言う所の「000(トリプルオー/オーディトリアム)」に近いオリジナルボディで、中低域の豊かなレンジの広いサウンドを持っています。各弦のバランスにも優れており、繊細なプレイや軽快なコード弾きに威力を発揮します。最高グレードの「DMP700」はスプルーストップ/ローズウッドサイド&バック仕様で、装飾が抑えられておりシンプルかつ上品な印象です。

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400シリーズ(ボディ幅360mm、弦長630mm)

タカミネDMP400DMP400 N

タカミネラインナップのなかで最もコンパクトなシリーズがこの400シリーズで、マーチンでいうところの「00(ダブルオー/グランド・コンサート)」に相当します。抱えやすさや弾きやすさから技巧派プレイヤーに好まれる他、ブルーズ/ラグタイムなどレトロなサウンドが求められるプレイヤー、またそのサイズ感から女性や子どもにお勧めできるモデルです。
最高グレードの「DMP400」はハワイアンコア単板のトップ&サイド&バックで、温かく軽やかなサウンドです。

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000シリーズ(ボディ幅435mm、弦長644mm)

タカミネ000シリーズDMP000 N、DMP051C SAS

17インチを僅かにオーバーする、タカミネのラインナップ内で最大のボディ幅を持つシリーズです。ハードなプレイも受け止めるボディから発する音量感は圧倒的で、ストリートでも生音が響き渡ります。
最高グレードの「DMP000」は全体的に装飾が抑えられたスプルーストップ/ローズウッドサイド&バック仕様です。続く「DMP051」は、ブリッジピンを使わない「スルーブリッジ」を採用しており、また指板のポジションマークを排しているので、大変スッキリとした印象になります。

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ワールドスタンダードシリーズ

「ワールドスタンダードシリーズ」は、イーグルスのグレン・フライ氏シグネイチャーモデルをはじめ、「多くのトッププロに選択されている海外のベストセラー」のラインナップで、モデル名も海外の表記に従っています。

ガース・ブルックス氏シグネイチャー「GB7C」

ガース・ブルックス氏は70枚以上のシングルがヒット、15枚のアルバムをチャートインさせた「伝説のカントリー歌手」ですが、これまで来日公演はありません。氏のシグネイチャーはドレッドノートを基調としていますが、サウンドホールがボディの形と同じになっているのが外観上の大きな特徴になっています。

グレン・フライ氏シグネイチャー「EF360GF」

スプルーストップ、ローズウッドサイド&バック、バインディングのあるマホガニーネックにドットインレイのドレッドノートです。どの現場でも、常にこのドレッドノートを待機させていたといわれています。フライ氏はかねてより熱烈なタカミネのファンで、かの名曲「ホテル・カリフォルニア」のイントロでは、タカミネの12弦が使われています。


Eagles – Busy Being Fabulous

サンタフェシリーズ「DSF46C」/「DSF47C」

500シリーズに特徴的な指板のインレイ、大胆なデザインのロゼッタ(サウンドホール回りの装飾)を施した大変印象的なギターです。ブリッジピンを使わない「スルーブリッジ」がスッキリした外観と弾きやすいテンション感をもたらしています。

ジョン・ボン・ジョヴィ氏愛用「EF341SC」「EF381SC」


Bon Jovi – When We Were Beautiful

かねてより愛用し、ジョン氏のトレードマークとなっている黒いドレッドノート。国内仕様では200シリーズに相当しますが、サイド&バックがメイプルとなっており、アタックの立つサウンドを特徴としています。「EF381SC」は同スペックの12弦仕様です。