
モーリスの入門~スタンダード機をまとめた「パフォーマーズ・エディション(以下、PE)」は、2025年・2026年と続けてラインナップを大きく刷新しました。
手に入れやすい価格と確かな品質を両立させ、これからギターを始める人のはじめの一本にも、弾き慣れた人のサブギターにもうってつけのシリーズです。
今回は、現行のPEラインナップを一台ずつチェックしていきましょう。
モーリス「パフォーマーズ・エディション(PE)」とは?
モーリスのPEは、気軽にギターを始められることを目指した、普及価格帯の製品群です。
長野県松本市の本社工場で生産される上位機種を出発点に、生産工程を工夫することで価格を大幅に圧縮しています。
しかし安いだけではなく、各モデルのコンセプトや、モーリスらしさをしっかりと打ち出す「アイデンティティ」、上位シリーズにはない仕様を積極的に採用する「オリジナリティ」、本社工場で検品・調整して完全な状態で出荷する「クオリティ」を備えたシリーズです。
それゆえこれからギターを始めるという人の入門機として、あるいはミニギターを卒業するお子様のステップアップとして、特におすすめです。
PEの見どころ──指板材とプリアンプ
現行PEは、2025年の「Renewed Series」(M-1/F-1/R-1)と2026年の「Renewed Series」(M-3/F-3/G-3)でローズウッド指板とマホガニーネックを採用し、それ以外のモデルでは「エンジニアリングウッド」指板を継続採用するという2本立ての構成になっています。
2026年のM-3/F-3/G-3は、シリーズ初の試みとなるヨーロピアン・スプルースをトップ材(単板)に採用したのも大きなトピックです。
ここでは、PEを語るうえで欠かせない2つのトピックを押さえておきましょう。
「エンジニアリングウッド」とは?
PEの一部のモデル(M-011LH/R-011LH/LAシリーズ)で指板に使われる「エンジニアウッド(EW)」とは、カンタンに言うと「木材が原料で、欲しい性能があると保証された材料」で、木材を貼り合わせたり組み合わせたりして作ります。
ふつうの木材に比べて強度と安定性が目立って優れており、鉄骨の代わりに使用される例もあるほどです。
EWは均一で強靭ですから、
- 温度や湿度の影響を受けにくく、調整が狂いにくい
- ポジションによらず均一な音響特性
- 指板が吸湿してフレットを押し出すなどのトラブルが起きにくい
というメリットが期待できます。
ギターの材料として使用できる木材は、枯渇の一途をたどっています。
特に指板に使用するローズウッドは貿易が規制されており、ギターメーカーにとって頭の痛い問題です。
これに対してEWは、木材としての性能が保証されるほか、安定的に仕入れることができるというメリットがあります。
エンジニアウッド:「木を原材料に工場で二次加工された木質材料のうち特に、強度特性が設計段階で所定の要求水準を満たすように計算され、完成した製品が所定の試験によって所定の要求水準を満たしているものと評価されることにより、強度特性が所定の要求水準を満たしていることが保証された木材製品(Wikipedia「エンジニアウッド」より抜粋)」
エレアコ用プリアンプ「MP-4」

現行PEのエレアコのうち「R-011LH」が搭載するプリアンプ「MP-4」は、シンプルさと扱いやすさを確保しつつ、
- カラー表示のクロマチックチューナー
- バッテリー警告灯を装備
- 青いバックライトで各操作ツマミがライトアップされる
- アウトプットジャック隣に電池ボックスを配置
という特徴を持っています。
価格を抑えつつも、ただ単に安いだけではない、面白さを感じられるギターを作ろうというメーカーのチャレンジ精神がうかがえます。
なお上位エレアコの「R-1」では、より本格的なステージ運用を見据えてFISHMAN製プリアンプを搭載しており、グレードによって電装系が描き分けられています。
「モリダイラ楽器は面白さが共感できるものなら、どんなに斬新なものでも市場に投入できる柔軟性を持っている会社です(株式会社モリダイラ楽器、鈴木剛氏談)。」
《初心者から一流のプロフェッショナルまで》Morris訪問インタビュー
現行「パフォーマーズ・エディション」のラインナップ
現行PEは、用途とボディタイプによって大きく3つのグループに分けられます。
生鳴りを楽しむアコースティックの「M/F/Gシリーズ」、ステージで使えるエレアコの「Rシリーズ」、そして本格仕様の小型ボディ「LA(ミニギター)シリーズ」です。
いずれもナット幅は43mmで統一されており、グループをまたいでも持ち替えの違和感が少ないのもPEらしい配慮です。
アコースティック(ドレッドノート/オーケストラ)
弦の生鳴りを素直に楽しむアコースティックモデルです。
力強い音量と低音が魅力のドレッドノート「Mシリーズ」、小ぶりで抱えやすいオーケストラボディの「Fシリーズ」、ラウンドショルダーのオリジナル・ドレッドノート「G-3」がここに含まれます。
サイド&バック材はマホガニー、ナット幅43mmが共通です。
エレアコ(Rシリーズ)
ピックアップとプリアンプを搭載し、ステージでも使えるエレアコです。
本格的なFISHMANプリアンプを積んだフラッグシップ「R-1」と、扱いやすいMP-4を備えた「R-011LH」が現行ラインナップです。
ミニギター(LAシリーズ)
「LAシリーズ」は、単なるミニチュアではなく本格的な楽器として企画された小型ボディのギターです。
全長866mm・弦長580mmと小ぶりで、お子様のステップアップや旅のお供、ソファでの弾き語りにも向きます。
以上、モーリスの現行「パフォーマーズ・エディション(PE)」をチェックしていきました。
2025年の刷新でローズウッド指板やFISHMANプリアンプを採用した上位機が加わり、2026年にはヨーロピアン・スプルース単板トップのM-3/F-3/G-3が登場しました。
エンジニアリングウッドやフレイム・マホガニーといった工夫も健在です。
手に入りやすい価格でありながら、モーリスらしい「攻め」の姿勢が感じられるラインナップといえます。
楽器店で見かけたら、ぜひチェックしてみてください。