コール・クラーク(Cole Clark)のギターについて[記事公開日]2020年5月7日
[最終更新日]2020年05月7日

コール・クラーク3つのグレード

コール・クラークでは1から3に向けて、順次グレードが上がっていきます。それぞれは先述した特徴を全て備えた上で、木材や装飾などに違いが設けられています。

1シリーズ

基本モデルとなる「1」シリーズは、バインディングなし、ドットインレイというシンプルな意匠です。指板とブリッジにはシーオーク材やブラックビーン材が使用され、ネック材はクイーンズランド・メイプルが使用されます。また、ブラックのピックガードとギグバッグが同梱されます。1と2は意匠と付属品の違いが中心なので、楽器としてはほぼ同じグレードであると見て良いでしょう。

2シリーズ

1段階グレードが上がった「2」シリーズは、ボディにウッドバインディングが入り、指板には十字型のスノーフレーク・インレイが配され、ゴールドパーツが採用されます。木材構成は「1」と同様で、指板とブリッジにはシーオーク材やブラックビーン材が使用され、ネック材はクイーンズランド・メイプルが使用されます。また、べっ甲柄ののピックガードとハードケースが同梱されます(リトルレディではギグバッグ)。サイド&バックにインドローズを使用するなど、「2」と「3」の中間に位置するモデルも作られます。

3シリーズ

最高グレードの「3」シリーズは、ボディ、ネック、ヘッドにバインディングが入り、ロゼッタ、ウェスト、指板にアバロンインレイが配され、ゴールドパーツが採用される、ゴージャスなルックスです。木材構成でもグレードが上がり、指板とブリッジには希少なエボニー材が使用され、ネック材はクイーンズランド・メイプル・シルクウッドが使用されます。また、べっ甲柄ののピックガードとハードケースが同梱されます。


Tim McMillan & Rachel Snow – Ecdysis (Official Video)
カスタムモデルやアニバーサリー仕様なども作られているので、意匠のド派手な3シリーズでなければ外観だけでグレードを見抜くのはなかなか困難な場合もあります。この動画で使用されている個体はドットインレイで黒いピックガードから1シリーズかと思いきや、ボディ外周にバインディング(正確にはパーフリング)が伺えますね。

コール・クラーク3つのモデル

では具体的に、どんなギターがあるのかを見ていきましょう。現在日本に流通しているのは、ドレッドノート・タイプの「ファット・レディ」、フォークタイプの「エンジェル」、やや小ぶりな「リトル・レディ」の3モデルです。寸法にインチ表記とミリメートル表記が混在しているのが面白いところです。オーストラリアの寸法はメートル法ですが、弦長についてはインチ表記のほうがイメージしやすいという考え方です。

Dreadnought「Fat Lady」

ドレッドノート・タイプの「ファット・レディ」は、弦長25.5インチ、胴厚118mm、ボディ幅410mm(16.14インチ)というサイズ感で、このタイプの元祖であるマーチンのドレッドノート(弦長25.34インチ、ボディ幅15.625インチ)よりやや大きめです。ヘッドストック中央の盛り上がり部分はキリっと角ばっており、じゅうぶんな繊細さがありながらも、力強い演奏にも応じるパワーがあるこのモデルのキャラクターを象徴しています。

CCFL1EC-BM

コール・クラークのモデル名はそのまま仕様を表しており、CCFL1EC-BMはCC(コール・クラーク)、FL1(ファット・レディ1シリーズ)、E(エレアコ)、C(カッタウェイ)、BM(ブンヤトップ、クイーンズランド・メイプルサイド&バック)です。ファット・レディの中でも最も求めやすい価格帯であり、またコール・クラークを象徴する代表機種でもあります。クイーンズランド・メイプルは名前のイメージとは違い、マホガニーに近い性質があります。標準的なギターで言うと、スプルーストップ、マホガニーサイド&バックのギターに近いと考えるとイメージしやすいでしょう。


Cole Clark: Fat Lady 1 Bunya

CCFL2EC-BLBL-HUM

アコギにエレキギターのハムバッカー・ピックアップを搭載してしまうという、大メーカーのレギュラー生産ではかつて無かったギターです。通常の3WAYピックアップのアウトプットとハムバッカーのアウトプットは別系統になっており、エレアコはエレアコ用アンプ、ハムバッカーはギターアンプへと接続して使用します。しっかりとした本体の鳴りがありながら、ハウリングに強いというコール・クラークの底力を感じさせるモデルです。


Cole Clark: Humbucker

Grand Auditorium「Angel」

グランド・オーディトリアムサイズのフォークタイプ「エンジェル」は、弦長25.5インチ、胴厚110mm、ボディ幅386mm(15.196インチ)で、マーチンの000(弦長24.9インチ、ボディ幅15インチ)よりやや大きめです。しっかりしたパワーのある楽器ですが、細かなニュアンスを大事にしたいプレイヤーにお勧めです。ヘッドストック中央の盛り上がりも緩やかで、このモデルのサウンドイメージを象徴しています。

CCAN2EC-BB

モデル名末尾の「BB」は、ブンヤトップ、ブラックウッドサイド&バックを意味します。通常2シリーズではオーストラリアン・ブラックウッドが使用され、バックは3Pとなるところ、本機はタスマニアン・ブラックウッドを使用、バックは2Pとなっていて、より豊かな生鳴りが得られます。


Julia Stone – How Long – Acoustic [ Live in Paris ]
ファット・レディの押し出しの強さと違い、エンジェルは優しく包んでくれるマイルドさがあります。ボディ形状や木材の違いでいろいろなサウンドが得られるのが面白いですね。

「Little Lady」

やや小ぶりな「リトル・レディ」は、弦長23.5インチ、胴厚100mm、ボディ幅360mmで、弦長は標準サイズのギターで1フレットにカポタストを付けたのとだいたい同じ、ボディの大きさはエンジェルよりちょっと小さいくらい、というサイズ感です。小ぶりなギターとしてはボディが大きめの可愛らしいルックスと、大きめのボディによる豊かな鳴りが特徴です。なお、ヘッドストックはフラットです。

CCLL2E-BB

リトル・レディはカッタウェイなし、ピックガードなしが標準です。「BB」はブンヤトップ、オーストラリアン・ブラックウッドサイド&バックで、バックは3Pです。


Cole Clark Little Lady LL1E Guitar Overview
あれ?名前の割にそんなにちっさくない、というサイズ感であることが何となく伝わってきます。ボディ形状が象徴するような、丸く太いサウンドです。