YAMAHAの「ギタレレ」は、「ギター+ウクレレ」というコンセプトで1995年に発表されて以来、四半世紀という歴史ある楽器です。自宅でちょっと弾いたり旅先に持っていったりするのにちょうどよい小ささと、独特の可愛らしい音色が魅力です。しかし実際にはどんな楽器で、どうやって使うんでしょうか。初めての楽器として選んでも大丈夫なんでしょうか。今回は、このYAMAHA「ギタレレ」に注目していきましょう。
The Beatles While My Guitar GentlyWeeps Cover (YAMAHA GL-1)
軽やかな可愛らしいさがある、美しいサウンドです。低音もしっかりあるので、ソロ演奏にも良好。
「ギター」と「ウクレレ」で「ギタレレ」。ギタレレはYAMAHAの製品名(登録商標)ですが、他社の近い製品が世界中で「ギタレレ」と呼ばれてしまうほど、この名称は一般化しています(「ピアニカ」と「エレクトーン」も同様)。価格を抑えた小型の楽器とはいえさすがにYAMAHA製品だけあり、正確な音程で美しい音色が得られます。ギタレレの特徴をチェックしていきましょう。
ギタレレをちょっと乱暴に定義すると、「クラシックギターをテナーウクレレのサイズまで縮小した、新しい楽器」です。普通のギター用ナイロン弦を使い、弦の張り方もギターと同じです。
「1弦がA」というウクレレと同じチューニングで、ウクレレもナイロン弦を使いますから、ギタレレはウクレレっぽいサウンドになると言って良いでしょう。しかし弦は6本あるので低音が豊かで、ギター的な演奏ができます。
ギタレレのサイズは、世の中のどのトラベルギターやミニギターよりもコンパクトです。お部屋に置くにも旅先に持っていくにも邪魔になりません。またボディが合板でできているから見かけ以上にタフで、ちょっとやそっとラフに使ったくらいでぶっ壊れることがありません。
この小ささと頑丈さにより音量は大きすぎない、お部屋で弾くのにちょうど良い、また近所迷惑になりにくい感じになります。そのかわりエレアコではないので、爆音で鳴らしたければマイクを向けるかピックアップを埋設するかといった工夫が必要です。
ギタレレの弦長は「433ミリ」で、普通サイズのギターで言う「7フレットにカポタスト装着」とだいたい同じです。チューニングは1弦から「A、E、C、G、D、A」で、普通サイズのギターで言う「5フレットにカポタスト装着」と同じです。これは普通サイズのギターで言えば、2フレットぶん(1音ぶん)弦を緩めている状態です。弦がナイロンでできていることもあって指にやさしく、やわらかい音色です。
ギタレレは魅力ある楽器ですが、教本/曲集ともに少なく、解説動画や教室も少ない、というのが現状です。ギター的な楽器ではあるけれど、チューニングがギターと違います。ギター経験者は「5カポのギターだ」と思えば大丈夫な感じですが、初めての楽器として選ぶにはちょっと工夫が必要です。どうやって弾くものなのかを見ていきましょう。
ギタレレはクラシックギター寄りの設計で作られているため、座っての演奏が想定されています(立って弾くならストラップピンの取り付けが必要)。また「48ミリ」という広めのナット幅もクラシックギター的であり、「親指を出して握る」より「下からつまむ」スタイルの押弦が推奨されます。どのように弾くかは弾き手の自由ですが、ナイロン弦ということもあって「ピックでジャカ弾き」より「指で爪弾く」のが多数派です。
[Guitalele] Havana – Camila Cabello [FingerStyle] [YAMAHA GL-1]
座奏で指弾きがギタレレの多数派。クラシックギターでできることは、全てできます。
ギタレレの指板は、クラシックギターと同じ「真っ平ら」です。カポタストが必要になったら、「クラシックギター用」を調達しましょう。
また、チューナーは音名で合わせる「クロマチック」モードを使いましょう。クロマチック・モードがなければ「5カポ」に設定するか、ベース用のモードに切り替えるかすれば、どうにかなります。
チューニングの違いこそあれ、ギタレレはギター用の教本や楽譜、またコードの押さえ方やTAB譜を使って演奏することができます。教本であれば、いわゆるアコギ(フォークギター)よりクラシックギター用がお勧めです。ただしチューニングが違うので、原曲と同じキーで弾きたい時や誰かとアンサンブルする時には注意が必要です。
ギターとギタレレは、「移調楽器」という関係です。ギターのコードやTAB譜をギタレレでそのまま弾いたら、実際より高い音になってしまいます。だからといって現状でギタレレ用の楽譜は極めて少ないので、「ギタレレ用の楽譜を買えばいいじゃないの」というわけにもいきません。じゃあ、どうすればいいのか。そんなわけで、潤沢に入手できるギターの情報をギタレレ用に読み替える方法を考えてみましょう。
ギタレレで「C」を弾きたかったら、ギターコード「G」の押さえ方です。こんな感じに、「ギタレレで欲しいコード」をギターの押さえ方から導き出せるようにしましょう。
表:ギターコードからギタレレのコードを導き出す
「Dm7」→「Am7」、「F add 9」→「C add 9」のように、先頭の大文字だけを書き換えます。「G on B」のようなオンコード(ベースコード、分数コード)は、「D on F#」のように両方とも書き換えます。ギター初心者の登竜門「F」の押さえ方が、ギタレレでは比較的カンタンな押さえ方になるのは注目すべきポイントです。
現在、歌詞とコードの情報を無料で閲覧できるサイトがいくつもあり、曲をだいたい把握していれば弾き語りができちゃいます。コードの押さえ方も表示させられるので、知らないコードがあってもだいたいどうにかなります。しかしそういったサイトでも、残念ながらギタレレ用の押さえ方は用意されていません。ココで使えるのが、「カポ」や「キーを変える」の設定です。
ギタレレはギターの「5フレットにカポタスト装着」と同じなので、ギターコードの押さえ方を表示させて、カポやキーの設定を5つ上げるか7つ下げるかします。そこで表示される押さえ方が、ギタレレ用の押さえ方となるわけです。ただし、表示されるコード名はギター用のままですから、ごっちゃにならないように気を付けましょう。さっきの表を下から上に読めば、押さえ方からコード名が分かります。
現在のギタレレは、ナチュラル、ブラック、パーシモンブラウン、タバコブラウンサンバーストの4色でラインナップを展開しています。指板面にポジションマークはありませんが、5フレットと7フレットにサイドポジションがあります。全体的にクラシックギター寄りの設計ですが、サウンドホールにロゼッタ(飾り)がないのはウクレレ寄りの設計です。専用のソフトケースが付属します。
以上、YAMAHAのギタレレに注目していきました。小さくて練習しやすい、面白みのある楽器です。オリジナルの楽器でありながら、普通のギター弦を使うので弦はどこでも入手できる、またギギター経験者なら弦交換はたやすい、というのは大きなメリットです。
教本や楽譜が少ないので、初めての楽器としてはなかなかのチャレンジ精神が必要です。しかしギターやウクレレの経験者なら比較的カンタンに、いつもとはちょっと違った音が出せます。ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。
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