This Old Guitar / cogdogblog
アコースティックギターの原型は、8世紀頃にアラビアの古代楽器がスペインへ持ち込まれ、ヨーロッパ独自の音楽文化と融合したことで生まれたとされています。その後、弦の数・弦長・ボディー構造・力木(ブレーシング)の配列など、さまざまな改良が積み重ねられ、現在のアコースティックギターへと進化しました。
アコースティックギターの祖先は東洋からもたらされたと言われており、中でも中近東のアラビア商人がヨーロッパ・スペインにギターの原型となる弦楽器を持ち込み、各地で独自の進化を遂げていったと考えられています。その起源は非常に古く、10世紀のスペインの文献や13世紀のヨーロッパの細密画にも、その存在を確認することができます。
西洋のルネッサンス期(15世紀)、大衆の間で広まったのは複弦4コース(2本一組の弦を4セット張った仕様)の「ルネサンス・ギター」でした。同時に貴族の間では「ビウエラ・デ・マノ」と呼ばれる洗練された弦楽器が愛奏されており、身分によって異なるスタイルのギターがそれぞれ人気を集めていました。
現代的なリュート
バロック期(16〜17世紀)に入ると、複弦5コースの「バロック・ギター(リュート)」が全ヨーロッパで脚光を浴び、それまでのギターは急速に忘れ去られていきました。しかし18世紀後期の古典派期になると、「バロック・ギターの音楽表現は芸術的に完成されてしまった——つまり限界に達した」として衰退の一途をたどります。かわって注目を集めたのが6単弦の古典ギター。現代ギターと同じ6本弦のこの楽器が、新たな時代の主役として聴衆の心をつかんでいきました。
古典ギターはやがて広く愛好されるようになり、とりわけフランス宮廷でも盛んに弾かれました。当時の画家が描いた風俗画には、その熱狂的な人気ぶりが今も記録として残されています。
ロマン派期から近代(19世紀)に入ると、スペイン・アルメリア出身のアントニオ・トーレス・ジュラードが、それまでのギター製作の知見を集大成し、現代クラシックギターの構造的基礎を確立しました。彼が定めたボディーサイズ・力木配置・スケールの設計思想は、今日もほぼそのまま受け継がれています。
Martin D-18GE
一方、ドイツ東部出身でギター製作一家に育ったクリスチャン・フレデリック・マーチンは、1833年にアメリカのニューヨークへ渡り、現在最も広く普及している「フォーク・ギター(スチール弦ギター)」の原型を生み出しました。彼が創業した「マーチン」は今日に至るまで世界最高峰のギターブランドとして高い評価を受け続けています。

Martion D-28
20世紀に入ると、アコースティックギターは音楽シーンの中心へと躍り出ます。マーチンは1930年代にドレッドノートボディーの代名詞「D-28」「D-45」を確立し、スチール弦の豊かな音量と低音域の存在感で演奏家たちを魅了しました。一方、ギブソンは1942年に「J-45」を発表。温かみのあるサウンドと弾きやすさで、フォーク・カントリーシーンに深く根を張りました。
1950〜60年代、ボブ・ディランやジョーン・バエズらに代表されるフォークブームは、アコースティックギターの需要を爆発的に拡大させます。この波に乗ってGuild社が良質なアーチトップ・フラットトップを量産し、日本からはYamahaやMorrisが高コストパフォーマンスなギターを世界市場へ送り出しました。大量生産時代の到来は品質の均一化をもたらすと同時に、より多くのプレイヤーがギターへアクセスできる環境を生み出しました。

Xブレーシング
アコースティックギターの音を根本から規定するのが、トップ板の裏側に施される「ブレーシング(力木)」の構造です。マーチンが1850年代に開発したXブレーシングは、スチール弦の強い張力に耐えながら、トップ板全体を均一に振動させることに成功した革命的な設計でした。
ヴィンテージサウンドの再現を求めるプレイヤーが注目するのが「スキャロップドブレース」——ブレース材を彫刻刀で彫り込んで軽量化し、より繊細でレスポンスの速いサウンドを実現した仕様です。一方、現代の量産ギターに多く採用される「ノンスキャロップドブレース」は耐久性に優れ、安定したサウンドを長期間維持できるメリットがあります。
また、トップ材には明るく透明感のある「スプルース」と、柔らかく温かみのある「シダー(ウエスタンレッドシダー)」が主流です。バック&サイド材では、豊かな低音と倍音を誇る「ローズウッド」と、タイトでコシのあるサウンドが特徴の「マホガニー」が二大定番として長年愛されています。木材の組み合わせ次第でサウンドキャラクターが大きく変わるのも、アコースティックギターの奥深い魅力のひとつです。

Taylor Guitar の NT Neck
21世紀のアコースティックギター市場では、伝統的な手工芸とテクノロジーの融合が加速しています。Taylor社が開発した「NT Neck(New Technology Neck)システム」は、ネックとボディーの接合部をボルトオン式に刷新。これにより工場出荷時の精度向上と、ネックリセットを容易にするメンテナンス性の革命をもたらしました。
環境問題への対応も現代のギターメーカーに課せられた重要課題です。ワシントン条約(CITES)によるローズウッド規制強化を受け、各社はFSC認証材や代替木材(ルテア、オバンコール、Urban Ashなど)の積極採用を進めています。TaylorのUrban Ashシリーズはその代表例であり、サステナビリティと音質を高い次元で両立させています。
エレアコ(エレクトリック・アコースティック)の分野ではFishman社やL.R.Baggs社のピックアップシステムが進化を続け、ステージ上でも原音に忠実なナチュラルサウンドを実現しています。また、日本ブランドではTakamine(タカミネ)がCTP-3 Cool Tubeプリアンプを搭載したモデルでアメリカ市場に深く浸透し、Willie NelsonやGlen Frey(Eagles)など世界的アーティストの愛用ギターとして名を馳せています。
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