Martin Roadシリーズ :ステップアップに応えるエレアコ[記事公開日]2025年10月6日
[最終更新日]2026年10月6日

Martin Roadシリーズ 左から D-13E Retro Walnut(Aging Toner)、DE Retro Plus Granadillo(Aging Toner)、SC-13E Modern Mezcal Burst(Mezcal Burst)、DC-10E Modern Black(Black)

マーチンのギターが欲しい。
でもStandardシリーズのD-18やD-28は、まだちょっと遠い。
そんなときに候補に挙がってくるのが「Roadシリーズ」です。

Roadシリーズは、トップはすべて単板、ブレーシングはスキャロップドX、そして全機がピックアップを搭載したエレアコです。
入門機からのステップアップ、はじめてのマーチン、ステージで使える一本、このどれにも応えるラインナップが用意されています。
今回は、このマーチン「Roadシリーズ」に注目していきましょう。


  1. Roadシリーズって何?
  2. Roadシリーズのラインナップ

Roadシリーズって何?

マーチンには、Standard、X、Road、Modern Deluxe、Junior、Authentic、15、16といったシリーズが並んでいます。

その中でRoadシリーズは、XシリーズとStandardシリーズの間を埋めるシリーズとして位置づけられています。
製造はメキシコ、ソノラ州ナボホアにあるマーチンの自社工場です。
Standardシリーズなどの上位シリーズはペンシルベニア州ナザレスで作られていますが、Xシリーズ、Backpacker、Roadシリーズ、Dreadnought Juniorなどはメキシコ工場の担当です。

では、Roadシリーズは初心者向けなのでしょうか。
マーチンが想定しているのは、エントリークラスのギターから持ち替える人、はじめてマーチンを選ぶ人、ステージで使えるエレアコを探している人です。
マーチンのラインナップの入口にあたるシリーズで、ギターを本気で続けようとしている初心者の最初の一本にもなります。

Roadシリーズは何が安いの?

Standardシリーズとの価格差は、製造する工場と、ギターの各部の作り方の違いから生まれています。
D-18やD-28と、Roadシリーズのドレッドノートを並べてみると、その違いがはっきり見えてきます。

項目 Martin Roadシリーズ Martin Standardシリーズ
ネック接合 モーティス&テノン※SCを除く ダブテイル・ジョイント
ネック接合の特徴 量産に適した工法 伝統的な工法。製造・組み立てに手間がかかる
ブレーシング 通常位置のスキャロップドXブレーシング フォワード・シフテッド・ゴールデン・エラ・スキャロップドXブレーシング※ドレッドノート
ナット コーリアン 牛骨
サドル TUSQ(タスク) 牛骨
ケース ソフトシェルケース ハードケース
塗装 10 Style:サテン仕上げ グロス仕上げ
塗装による違い サテン仕上げはグロスより塗装工程が少なく、コストを抑えやすい 工程が多く、仕上げに手間がかかる

一方で、Roadシリーズが削っていない部分もあります。
音の要になるトップ材はすべて単板です。
10・12・13 Retro・Retro Plusは裏・側板まで単板です。
Roadシリーズは、工場の量産体制で作りやすい構造を選び、ナットやサドル、ケースなどに人工素材や軽量のものを採り入れることで、価格を抑えているというわけです。

Roadシリーズの音はどうなの?

Roadシリーズの音を形作っているのは、「単板トップ」と「スキャロップドXブレーシング」です。
トップ材はスプルースまたはサペリの単板で、スキャロップドXブレーシングがクリアさと音量、そしてレスポンスを引き出します。

音のキャラクターは、ボディの形で大きく変わります。
そちらは次の記事で解説しているので読んでみてください。

シリーズ内での方向性もはっきりしています。
Retroは、伝統的なボディ形状に温かくバランスの良いサウンドを合わせた路線です。
Modernは、速弾きしやすいネックとステージ映えするスタイリングで、エレキギターに近い弾き心地を持ちながら、マーチンのトーンを保っています。

Roadシリーズは弾きやすい?

ネックのグリップは「PAプロファイル」です。
丸みのあるモダンな形で、素早いポジション移動と握り心地の良さを両立しています。
10フレットでのネックの厚みは中央で.640インチで、Standardシリーズの「GEモディファイド・ロー・オーバル」の.700インチよりも薄く作られています。
またハイポジションに向かって幅の広がりを抑えてあり、指が動かしやすく、届きやすくなっています。

指板のエッジには、角を落とす「コンフォート・ベベル加工」が施されています。
また弦高やフレットの高さを機械で精密に整えているので、出荷時から弾きやすい状態です。

Pro Tips: Your Road To… Ep. 1 | Electric to Acoustic & Choosing a Guitar That Grows With You
マーチンのManufacturing Department ManagerのDave Dollが、SC-13E Modern、D-10E Retro、OMC-10E Modern Burst、000-10E Retro Sapeleを使って、エレキからアコギへの持ち替えとギター選びを解説しています。

Xシリーズとの違い

XシリーズとRoadシリーズは、どちらもメキシコ工場製です。
ネック接合のモーティス&テノン、スキャロップドXブレーシング、PAプロファイルのネック、ハイパフォーマンス・テーパー、コーリアンのナット、タスクのサドル、ソフトシェルケースまで、基本的な設計の多くを共有しています。

項目 Martin Xシリーズ Martin Roadシリーズ
トップ材 D-X1E:HPL
D-X2E:スプルース単板
すべて単板
バック&サイド HPL 大半のモデルが単板
13 Modernはコア材ファインベニア(合板)
HPLの使用箇所 ボディのトップ、またはバック&サイドに使用 主にヘッドプレートに使用
10・12・13の多くはブラジリアン・ローズウッド柄
HPLの性質 紙と樹脂を高圧で固めた複合材。木材ではない ボディには基本的に使用せず、音に関わる部分は木材で構成
ネック材 D-X2E:セレクト・ハードウッド
D-X1E:バーチ合板
木材を使用
指板・ブリッジ D-X2E:セレクト・ハードウッド
D-X1E:リッチライト
木材を使用
ピックアップ D-X2E:Martin E-1 Martin E1
上位モデル:L.R. Baggs Element
塗装 D-X2E:トップ・バック&サイドともにサテン仕上げ 10 Style:サテン仕上げ
12・13・Retro Plus:グロス仕上げ
ボディ材の特徴 HPLを採用することで、木材の使用量を抑えた構成 トップはすべて単板。バック&サイドも大半が単板で、より木材を主体とした構成

大きな違いはボディの材です。
これに対してRoadシリーズは、トップがすべて単板で、裏・側板も大半のモデルが単板です。
ピックアップはRoadシリーズはMartin E1か、上位機種ではLRバッグスのElementを搭載しています。

2026年モデルで何が変わった?

2026年1月14日、マーチンは2026 NAMM Showに先立って、刷新されたRoadシリーズを発表しました。
発表時のラインナップは全20モデルで、そのうち18モデルが新規または刷新です。
マーチン自身が、ここ数年でもっとも大きなRoadシリーズのアップデートと位置づけています。

大きな変更は、ラインナップを「Retro」と「Modern」の二つの路線に再編したことです。
Retroはドレッドノートと000という伝統的なボディ、Modernは、DC/OMC/GPC/SCのカッタウェイ・ボディです。
これにあわせてモデル名の末尾にRetro/Modernが付き、2025年の「D-12E」は「D-12E Retro」に、「SC-13E」は「SC-13E Modern」になりました。

10 / 12 / 13 / Retro Plus の違い

2026年モデルでは、各モデルが10/12/13/Retro Plusの四つのスタイルに整理されました。
それぞれのスタイルは、マーチンの伝統的なモデルの番号をお手本にしています。

10スタイルは、Style 15をお手本にしたスタイルです。
トップはスプルースまたはサペリの単板、裏・側板はサペリ単板で、サテン仕上げです。
ピックアップはMartin E1です。
ロゼッタはシングルリング、バインディングは黒(サペリトップ機はバインディングなし)です。

12スタイルは、Style 18をお手本にしたスタイルです。
トップはスプルース単板、裏・側板はサペリ単板で、全面グロス仕上げです。
ロゼッタはOld Style 18で、ピックアップはMartin E1です。

13スタイルは、Style 28をお手本にしたスタイルです。
トップはスプルース単板で、裏・側板はRetroがブラックウォルナット単板、Modernがコア材のファインベニアです。
グロス仕上げで、バインディングは白です。
ピックアップはMartin E1ですが、SC-13EのみLRバッグスのElementを搭載しています。

Retro Plusは、12スタイルと13スタイルをさらに格上げしたスタイルです。
トップはトリファイド・スプルース単板、裏・側板はマホガニーまたはグラナディロの単板で、グロス仕上げです。
ピックアップはLRバッグスのElementです。

Behind the Design: The Refreshed Road Series
マーチンのProduct Management DirectorのJoey Osisekと、International Instrument Design ManagerのRameen Shayeganが、刷新されたRoadシリーズの設計を語っています。

Roadシリーズのラインナップ

では、Roadシリーズのラインナップをチェックしていきましょう。
現行のRoadシリーズは、シグネチャーモデルを含めて23モデルです。
全機が単板トップ、スキャロップドXブレーシング(SCはトーン・テンションX)、ナット幅1 3/4インチ、ソフトシェルケース付属という仕様を共通しています。

ドレッドノート(D)

ドレッドノート・カッタウェイ(DC)

000(オーディトリアム)

OMカッタウェイ(OMC)

グランド・パフォーマンス・カッタウェイ(GPC)

SC

SCは、全機が13フレット接合で、トーン・テンションXブレーシングを採用しています。
トーン・テンションXは、Xブレースの高音弦側をスキャロップし、トーンバーはスキャロップしない構造です。

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以上、マーチン「Roadシリーズ」をチェックしていきました。
手の届く価格に収めながら、マーチンらしいトーンを届ける。
入門機を卒業して、はじめて自分のマーチンを手にする人。
部屋での弾き語りから、はじめてのステージへ踏み出そうとしている人。
Roadシリーズは、そんな人の次の一歩のために用意されたギターです。