エピフォンのレギュラーモデルでは、ドレッドノートタイプを主軸としたバリエーションと、そこから派生した限定モデルによってラインナップが展開されています。エピフォンのオリジナルばかりでなくギブソンの廉価版も加わっており、カラフルな品ぞろえになっています。
各モデル名の末尾には、大まかな仕様を表す表示が添えられることがあります。これらを把握しておけば、そのモデルがだいたいどういうものなのかを類推することができて便利です。
これらの表示を持たないものは、丈夫な合板ボディで、カッタウェイは無く、エレアコではない、ということを意味します。
カラーリングの異なる4機種の「DR-100」。左から:Natural (NA)、Vintage Sunburst (VS)、Ebony (EB)、ゴールドパーツの限定品Wine Red (WR)
シンプルなドレッドノート「DR-100」は、アコースティックギターの標準的な仕様をすべて備えながら1万円近辺という価格を実現したことで、長らくエピフォンのベストセラーに君臨しています。これからギターを始めて、上達して行こうという人にぴったりのギターです。
といった仕様はアコースティックギターのオーソドックスど真ん中であり、上達してからグレードの高いギターに持ち替えるのもスムーズです。ネックグリップは細身の「スリムテーパー」となっており、コードを習得するのもスムーズです。通常モデルの他に、ゴールドパーツ、ワインレッドカラーの限定仕様も生産されています。
「DR-212」は12弦仕様で、基本的な仕様は上記「DR-100」を踏襲しながら、弦が増えたぶんナット幅を1.75インチに拡大しています。また単に弦を増やしただけでなく、このモデルに向けてブレーシングを設計し直しており、十分な強度とバランスの良い出音を確保しています。
ギブソンの代表機種「J-45」ならびに「J-160E」、エピフォンの名機「Texan」が、限定生産にてリリースされています。これらは1960年代の音楽シーンでは欠かすことのできない重要なギターで、きらびやかな高音域と主張のある中音域が好まれ、ビートルズを始めとする多くのアーティストが愛用していました。マーチンの「ドレッドノート」に対抗する形で開発された大型のボディは、そのなで肩の形状から「ラウンド・ショルダー」と呼ばれています。
「Inspired by “1964” Texan」は、ポール・マッカートニー氏が愛用していたこともあって最も人気の高い1964年式のテキサンをベースに、現代の視点で改善を加えたモデルです。オリジナルのテキサンには高さの調節ができるブリッジが備わっていましたが、本機では標準的なものに変更しており、弦振動がトップに伝達する効率をアップさせています。ポール氏は右用を左で使用していましたが、こちらは左用もリリースされています。
トップ材のスプルース、サイド&バック材のマホガニーはいずれも単板で、迫力のある生音が得られます。内蔵しているシャドウ社製「ソニック」プリアンプ及び「ナノフレックス」ピックアップは上位機種「マスタービルト」にも採用されているもので、小型/軽量で楽器の鳴りを邪魔しにくく、弦振動だけでなくボディの振動もキャッチする敏感さと、ハムノイズに悩まされない音質を持っています。
最高グレードとなる「Elitist “1964” Texan」は、エピフォンのアコースティックギターでは唯一の日本製です。トップのシトカスプルース、サイド&バックのマホガニーはもちろん単板で、使うほどに味が出るニトロセルロースラッカー塗装が施されます。両サイドのネジで高さの調節ができるブリッジはそのままに、60年代仕様のハードケースが付属します。
日本で作られたギターは世界的に評価が高く、エピフォン公式サイトでは、「おそらくオリジナルのヴィンテージより優れている(perhaps even better than the vintage original)」とまで熱く語られています。
1963年製のギブソンJ-45は、半世紀にわたってロック/ポップスを支えてきた名機中の名機です。本機はその伝説的な名機を求めやすい価格帯の範囲内で、可能な限り忠実に再現しています。
トップにスプルース、サイド&バックのマホガニーはもちろん、ボディを縁取る多層バインディング、3列式のペグなどをしっかり再現しながら、両効きのトラスロッドが仕込まれており、順ぞり/逆ぞり両方向への調整が可能です。
1954年にデビューしたギブソンの「J-160E」は、ライトニン・ホプキンス氏、ポール・ウェラー氏、ジョン・レノン氏など多くの愛用者を得てきました。「EJ-160E」はその伝統を受け継ぎつつ、エピフォンのギターとしての再構築を受けています。
指板の端に配置されたマグネット・ピックアップはエピフォンのオリジナルで、シングルコイルの外観ながら内部は二つのシングルコイルを縦に積んだハムバッキング構造となっており、ハムノイズに悩まされずに済みます。ペグもエピフォンのオリジナルで、18:1という高いギア比を持つ高精度のものが付けられています。
ボディトップのスプルースは単板なので生でも十分な音量が得られ、多層バインディングや台形の指板インレイによって高級感が演出されています。
「テキサン」は「J-45」のエピフォン版としてリリースされたものでしたから、両機はボディシェイプも材料も同じで、かなり似ているギターです。外観ではピックガードの形状に違いがあり、また指板インレイにも違いが表れていますが、楽器としての大きな違いは弦長にあります。
弦長の長い方が張りのあるサウンドになりますが、そのぶん弦の張力も上がります。
「AJ(アドバンス・ジャンボ)」シリーズは、エピフォンの名機「テキサン(Texan)」を引き継いだ、ラウンド・ショルダーのドレッドノートタイプです。上記DRシリーズと比べると、なで肩になっているのが確認できますね。ピックガードの形状もエピフォン独特のもので、「E」の文字が添えられています。ラウンド・ショルダーには、なで肩になった分ボディの容量が若干抑えられ、中音域が豊かに響く傾向があります。
レギュラーモデルのAJシリーズは、現在4機種ラインナップされています。
といったところが共通していますが、目的や予算に合わせてさまざまな仕様になっています。
モデル名 | AJ-100CE | AJ-210CE | AJ-220S | AJ-220SCE |
トップ材 | 合板 | 合板 | 単板 | 単板 |
カッタウェイ | あり | あり | なし | あり |
エレクトロニクス | NanoFlexピックアップ | NanoFlex 、Performer Tuner | なし | NanoFlex 、Performer Tuner |
特記事項 | 多層バインディング、ハードケース付属 | 多層バインディング |
表:AJシリーズ比較
AJ-100CEはピックアップのみ内蔵しており、プリアンプはありません。音響設備がしっかりしているライブ会場ではそのままDIに差してPAさんにお任せできますが、自分でサウンドメイキングする必要があった場合には、別途プリアンプが必要になります。
AJ-210CE、AJ-220SCEに内蔵されるシャドウ社製「Performer Tuner」プリアンプはボディサイドに取り付けるタイプで、音量、トレブル、ベースのコントロール、ハウリング防止のフェイズスイッチ、低バッテリーインジケータ、クロマチックチューナーを備えています。小さなボタン電池を使用しますが、従来の四角い電池を使用するものより長寿命な設計です。
The Epiphone AJ-220S Acoustic Guitar
AJ-220Sをいろんなミュージシャンが演奏しています。皆さん「ネックの感じがイイね」っておっしゃいます。みなさん高級なギターだと感じたようですが、「え?そんなに安いの?」というリアクションです。
「J-45」のラウンド・ショルダーに対し、「ダヴ」や「ハミングバード」は、肩が張っているボディ形状から「スクエア・ショルダー」と呼ばれています。スクエア・ショルダーはラウンド・ショルダーに比べてボディの体積が増すことから、低音の迫力が増強されます。
ギブソンの「Dove(ダヴ)」は、硬質な木材と張りの強い弦長を活かしたサウンドを持ち味としています。こちらのエピフォン版でもその特徴をしっかり踏襲し、スプルース単板トップ、メイプルサイド&バック、メイプルネック、弦長25.5インチという楽器本体に、オリジナルを踏襲したブリッジとピックガードを備え、雰囲気充分なギターに仕上がっています。
フィッシュマン社製のプリアンプはサウンドホールの内側に配置され、音量とトーンが操作できます。9Vの乾電池で駆動し、電池は100時間もちます。
ギブソンの「Hummingbird(ハミングバード)」は、ジャキジャキ感のある独特のサウンドが「ハニートーン」と呼ばれました。デビューした1960年当時としてはまったく新しい赤いボディカラー、また細身のネックグリップがロック系アーティストにウけ、ロック系御用達のギターになっています。
エピフォン版のハミングバードはギブソン版の仕様を受け継ぎつつ、シャドウ社製「ナノフレックス」ピックアップと「ePerformer」プリアンプを備えた高性能なエレアコに仕上がっています。限定生産で、エボニー(ブラック)カラー版もリリースされています。
限定生産された「ハミングバード・アーティスト」は、上記ハミングバードの仕様を受け継ぎつつ、ボディトップにフレイムメイプルを採用した、見た目に美しいギターになっています。指板の「スプリットダイアモンド」インレイ、6層にもなるトップのバインディングも手伝い、充分な存在感を発揮します。ペグのギア比は18:1で、シビアなチューニングが可能です。
デイヴ・ナヴァロ氏は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズでの活躍、ナイン・インチ・ネイルズやアラニス・モリセット女史とのコラボレーションなどにより、オルタナティヴ・ロックにおけるギターヒーローの一人と言われています。
氏も設計に加担したというシグネイチャーモデル「Jane」は、カッタウェイを持つスクエア・ショルダーに弦長25.5インチのネックを備え、ブラックのボディカラーにエボニー指板が映える、精悍なルックスに仕上がっています。
電機系はシャドウ社製で、ボディの振動まで拾い上げる「ナノフレックス」ピックアップと、「eSonic」プリアンプを装備しています。このプリアンプは音量、トレブル、ベースに加え、「ダイナミックスライダー」を備えており、手元でかなり突っ込んだサウンドメイキングができます。
スクエア・ショルダーのマホガニーボディにメイプルネックを備えた本機は、世界で初となる「自動チューニングシステム」を備えたアコースティックギターです。ヘッド裏に配置された「Min-ETune」チューニングシステムは12件のプリセットに6件のユーザープログラムを追加でき、10秒ほどで好きなチューニングに合わせてくれます。
トップのシトカスプルースは単板で、しっかりとした生音が得られますが、シャドウ社製の電気系が組み込まれており、手許の操作でかなり追い込んだサウンドメイキングが可能です。
Beyond The Black: Live Session at Bloodstock
ドイツのシンフォニック・メタルバンド「Beyond The Black」所属ボーカリスト、ジェニファー・ハーベン女史による大変味のある弾き語り。使用しているギターはFT-350SCEと思われます。この演奏では指弾きのタッチが活きる繊細なサウンドが聴けますが、ガーンと思い切り弾いても大丈夫です。
ギブソンの「J-200」は、「キングオブ・フラットトップ」と呼ばれる名機です。17インチものボディ幅から発せられるサウンドは、バンドに支えられているかと錯覚させるほどの迫力があり、また細かなタッチを再現する繊細さを併せ持っています。
エピフォン版としてリリースされた「EJ-200SCE」は、名機「J-200」の仕様を受け継ぎ、
というギター本体にカッタウェイを備え、上位機種「マスタービルト」コレクションで採用されているシャドウ社製「eSonic-2」プリアンプが搭載されています。
このプリアンプはボディの振動まで拾い上げるアンダーサドル・ピックアップ「ナノフレックス」とノイズフリーのマグネット・ピックアップ「ナノマグ」の二つを操作することで、多彩なサウンドメイキングを可能にしています。
限定生産されている「EJ-200 Artist」はJ-200の仕様をベースに、リバースベリー型のブリッジとドットインレイによるシンプルな本体に、6層もの多層バインディングを施した独特の仕上がりとなっています。これに両効きのトラスロッドを仕込み、ギア比18:1の高精度なペグを取り付け、調整可能域とチューニング精度を強化しています。
「PR-5E」は1990年にデビューしたエピフォンオリジナルギターで、大きなカッタウェイによるハイポジションの演奏性を大きな特徴としています。本機のように切り口が大きく、ホーンが尖っているものを「フローレンス・カッタウェイ」と言い、他のカッタウェイモデルに見られるホーンの先が丸くなっているものを「ベネチアン・カッタウェイ」と呼びます。
ボディバックを若干ラウンドさせるなど設計上の工夫が注がれることで、大型のカッタウェイで失ったボディの容量が補われ、生の音にも十分な迫力があります。
電機系には先述したデイヴ・ナヴァロ氏のシグネイチャーモデル「Jane」と同様の「eSonic」が採用されており、シンプルな操作でかなり突っ込んだサウンドメイキングが可能になっています。
ボディ幅15.5インチの小型な「EL-00 PRO」は、1930年代にさかのぼるエピフォン黄金期のスタイルをそのまま継承しています。くびれのしっかり付いた小型のボディは抱えやすく、また単板のトップによる豊かな音量と繊細なサウンドを持つことから、フィンガーピッキングやスライド奏法に特に良好です。
電機系はフィッシュマン社製のシンプルな「Sonitone」が採用されており、サウンドホール内部から音量とトーンを操作することができます。
Epiphone EL-00 Pro Acoustic-Electric Guitar
オープンEチューニングで弾くあたり、渋いですね。エレアコとしてのサウンドは温かみがあり、明瞭な印象です。
金属製の「リゾネーター(共鳴機)」を備えるギターは、今なお伝統的なアメリカン・ミュージックの象徴的な楽器です。この分野の代名詞でもある「ドブロ」は現在ギブソン傘下ブランドであり、エピフォンからは、比較的リーズナブルな「ハウンドドッグ・シリーズ」がリリースされています。
メタルボディのドブロは、ブルースやジャズ、またスライドプレイにおいて類まれな存在感を発揮しますから、アコギ弾きなら是非とも一本持っていたいものです。エピフォンからリリースされたメタルボディのドブロ「M-14」は、本格的なサウンドと道具としての利便性を兼ね備えていながら、比較的手に入れやすい価格帯を実現しています。
「M-14」はニッケルメッキを施したベルブラス製のボディに、弦長24.75インチのマホガニーネックが14フレットで接続されています。ネックグリップはエピフォン製品に多く見られる「60年代のスリムテーパー」で握りやすく、他のギターから持ち替えても自然な弾き心地です。
18:1の高精度ペグによりチューニングがビシっと決まり、また両効きのトラスロッドが仕込まれているので、順ぞりも逆ぞりも調整することができます。
ボディにメイプルを使用したリゾネーター・ギターは、3機種がリリースされています。
これらは
といった仕様が共通していますが、目的に合わせた違いが設けられています。
モデル名 | Round Neck | Deluxe Round Neck | Deluxe Square Neck |
ボディ材 | メイプル | フレイムメイプル | フレイムメイプル |
サウンドホール | Fホール | スクリーン付き円形 | スクリーン付き円形 |
ナット幅 | 1.75インチ | 1.75インチ | 2インチ |
ネックグリップ | ラウンド | ラウンド | スクエア(四角) |
ピックアップ | なし | フィッシュマン | フィッシュマン |
表:ドブロ3機種の比較
「デラックス」2モデルにはピックアップがついており、ライブに威力を発揮します。スクエア・ネックについて「四角いネックなんて、どうやって握るのか?」という疑問が湧くかもしれませんが、これはスライド奏法を前提とした設計ですから、ネックを握って演奏することは想定していません。ネックの木材量が増えますから、サウンドのコシが増強されます。
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