アコースティックギター初心者向け入門講座

Taylor Guitars(テイラー・ギターズ)のアコギについて

Taylor Guitarsロゴ

「テイラー・ギターズ(以下、テイラー)」は、カリフォルニア州エルカホンに拠点を置くアメリカのギターメーカーです。1974年設立と比較的歴史の浅いメーカーながら、むしろそれを逆手に取るように電子制御の工作機械を積極的に導入し、個体差に悩まされない均一性のある生産を続けています。また演奏現場でのギターの使われ方を調査し、生音のマイク乗りなど音響性能に深くこだわった設計はアメリカ国内での支持が特に厚く、テイラーは今やマーチンやギブソンと並ぶ3大ギターブランドとして知られています。現在では二つの工場で700名以上の従業員を抱える大企業に成長し、ギター業界の将来をも見据えて林業の事業者と提携を行うと共に、フィギュアドメイプルを栽培する方法を研究しています。2014年1月には米国国務省により企業優秀賞(ACE)を受賞しました。


Taylor Swift “Picture to Burn” – NAMM 2008 with Taylor Guitars

社長のボブ・テイラー氏は「今作ろうとしているギターは1年前より良い物か?」という問いかけをしながらギターの設計や生産ラインの改善を重ねていったと言います。プレイアビリティや音響性能、実用性など「機能的な質は全て数値化できる」という信念のもと、高品質で実用的なラインナップは代表機種「814ce」を中心に、世界中のアーティスト/スタジオミュージシャンに愛用されています。

合理性の社長ボブ、感受性の職人アンディ

ボブ・テイラー氏は、調整しながら長期的に使用する事のできるギターの設計と、高いレベルの品質基準をクリアする生産体制の二つを目指してきたと言います。設計ではネック調整ができるというメリットのため敢えてデタッチャブルネックにこだわり、0.1mmから弦高やネックの仕込み角を微調整できる「NTネック」の構造で特許を取得しました。生産体制では紫外線で塗膜を硬化させる「UVフィニッシュ」をいち早く導入するほか、コンピュータ制御のNCルータによる精巧な木材加工によって実現した「フィンガージョイント(ヘッドとネックの接合法。ギザギザ同士をきっちり貼り合わせる)」や「スカーフジョイント(曲面同士で貼り合わせる)」など、新しい試みに積極的です。

ボブ・テイラー氏の唯一の悩みは、品質は客観的に数値化できるのに、音の良さは主観的な範疇のものだから答えが出せない、というものでした。そこでカリフォルニアのギター製作家アンディ・パワーズ氏をマスタークラフトマンとして招き、ラインナップの改善を進めています。


Jason Mraz – How to Play “I’m Yours” Taylor Session

パワーズ氏はそれまでほとんどひとりでギターを作ってきましたが、深く多様な歴史的知識があり、音色のニュアンスを形作るための微細な手作業を直感で行ないます。テイラー氏はパワーズ氏を「特定の音色のニュアンスを引き出すには何を変えるべきか、正確に把握できる」「高音から低音まで、一貫したトーンを出せる」と評しています。パワーズ氏を迎え入れる事で、テイラーのギター開発は合理的な製造を目指す社長と直感的で卓越した職人のコラボレーションとなりました。全く異なる感性を持った二人ですが、「アコースティック・ギターの演奏体験を向上させる」という点で意見が一致していると言います。

代表機種「814ce」に見るテイラーギターの特徴

Taylor 814ce 2013 814ce 2013:引用元 www.taylorguitars.com

テイラーのギターは弦高が低くなるようにセットアップされており、演奏に対するストレスが軽減されています。そしてエレアコであってもしっかりとした「鳴り」があり、生音を楽しむことができます。余分な低域が抑えられるように設計されているため煌びやかさが引き立ち、音抜けやマイク乗りが良くなります。「マーチンを殴るように弾く」ことで知られるニール・ヤング氏も、スタジオでのマイク乗りを気に入って一時期テイラーに持ち替えた事がありました(マーチンやギブソンは、サウンドの良さに反してマイキングが非常に難しいと言われています)。

テイラー製品のバリエーションは非常に豊富ですが、ここでは代表機種の「814ce」からテイラーのギターがどのようなものなのかチェックしてみましょう。814ceはテイラーのラインナップ中で常に人気が高く、ポップス/ロックからジャズ、フィンガーピッキング、生音で歌うフォークまで何でもカバーし、弾き手によって色々な個性を出せる万能機種として、長年にわたってスタンダードとされてきました。

814ceを…
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テイラーを象徴する外観

814ceのボディ814ceのボディ

テイラーのギターはヘッドとブリッジ、ピックガードのおおまかな形状が決まっており、遠くから見てもテイラーだと分かります。またボディ外周を縁取るバインディングに白いメイプルをセレクトすることが多いのもこだわりです。木材と装飾はシリーズ(=グレード)ごとに決まっていて、814ceの属する「800」シリーズはマホガニーネック、シトカスプルーストップ、インドローズサイド/バックというマテリアルで、マーチンでいうところのグレード「28」に相当します。

指板/ブリッジのほかに、ロッドカバー、またブリッジピンまでエボニーが使用され、高級感があります。しかし目立った装飾は指板インレイとゼッタ回りのアバロンくらいにとどめており、シンプルで上品な外観になっています。600シリーズ以上はピックガードにローズウッドが採用されますが、プラスチック製のものよりボディ鳴りへの影響が少なく、鳴りを損ないにくいメリットがあります。

814ceのインレイ

ボディ形状は「グランド・オーディトリウム(Grand Auditorium)」でボディ幅16インチ、マーチンの「0000(クアドラオー)」に相当します。大型ですがウェストが引き締まっているため抱えやすく、またカッタウェイがあるためハイポジションでのプレイにも余裕が得られます。ナット幅1.75インチ(44.5mm)はやや広めですが、それを感じさせないスリムなグリップです。

独特すぎるネックジョイント

814ceのネックジョイント

テイラーが特許を取得した「NYネック」は、まさかのボルトオンジョイントです。ボディ内部から2本のネジで固定されていますが、テイラーの扱いに慣れた職人なら5分でネックを外すことができ、このネックとボディの間に挟まれるサペリ材のスペーサーにより、ネックの仕込み角度を微調整することができます。

デタッチャブルネックが可能にしたピックアップシステム

テイラー独自開発のピックアップシステムは、「エクスプレッションシステム」と呼ばれ、814ceでは進化版の「エクスプレッションシステム2」が搭載されています。ます。ブリッジとネックにピエゾを仕込む「2ピックアップ方式」ですが、ネック側のピエゾはジョイント内部に仕込まれます。これはデタッチャブルネックだからできるシステムだと言えるでしょう。またブリッジ側も独特で、これまでサドルの真下に配置する事が一般的だったピエゾをサドルの真横に配置し、サドルの前後の振動をピックアップします。ブリッジには3つのネジが顔を出しており、このネジの操作でピエゾの感度を操作できます。


All of Me – John Legend (Boyce Avenue acoustic cover) on Apple & Spotify
Boyce Avenueは、楽曲のカバーがYouTubeで大人気になっているアーティストです。

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